機体性能の差は勝敗を決める唯一の条件
広場の上。
砂漠色のメカが銃型35ミリ機関砲を持ち上げる。短点射。三発。
黒いメカは動かなかった。弾丸が通り抜け、後ろの地面に当たり、三つの穴が炸裂する。
そして黒いメカがようやく消えた。紫色の、半透明の残影がその場に残る。本物の機体はすでに十メートル先にいる。残影が一瞬閃き、それも消えた。
「ははははは!」
通信チャンネルにあの女の笑声が流れる。
尊爵は歯を食いしばる。メカの頭部両側の射撃口が反転して現れ、弾丸が掃射される。弾幕が黒いメカの位置を覆う。だが相手はまた消えた。残影が引き裂かれ、本物の機体が側面から滑り出す。
「まったく!」
尊爵は操縦桿を引く。メカが側方へ移動し、相手の尾の横薙ぎを避ける。
「この機動性は本当に人間が耐えられるのか?過負荷で潰されないのか?」
黒いメカの尾が一度振る。尾先の紫色の光刃が砂漠色のメカの胸をかすめ、浅い痕を残す。
「君の機体は悪くない。」
あの女の声がチャンネルから流れる。軽やかで、笑みを帯びている。
「だが性能が違いすぎる。」
――
地上。
展示館の入口。礼白は西洋の軍車の後ろにしゃがんでいる。皇女は彼の隣で、手に小型拳銃を握っている。少女は彼にもたれかかり、呼吸は浅い。
礼白の手は先ほど碎石で擦り傷を作った。血が掌から滲み、石板の上に滴る。
少女はうつむき、彼の手を見る。
そして彼女は近づき、唇を彼の傷口に当てる。
礼白は一瞬止まる。
皇女も一瞬止まる。
少女の唇はとても冷たい。礼白は掌の痛みが消えていくのを感じる。血が止まる。傷が閉じていく。
彼女は顔を上げる。唇に少し血がついている。彼女は手の甲で拭う。
「魔法?」
礼白は自分の掌を見る。擦り傷はもうない。薄いピンクの痕だけが残っている。
「君は――」
少女は指を唇の前に立てる。
「しー。」
彼女の声はとても軽く、少し息を切らしている。
「これはとても精力を使うの。」
彼女は礼白を一瞥する。黒い目はとても明るい。
「それに、私は気軽な女じゃない。普通は薄めて薬にする必要があるの。」
礼白は彼女を見る。
「ではさっきは――」
少女は答えなかった。彼女は頭を礼白の肩に戻し、目を閉じる。和服の袖口はまだ血が滴っているが、彼女自身の傷もそれほど重くないようだ。
通信器から尊爵の声が流れる。大汗をかいた口調。
「首相様。」
彼は言う。
「生死を分ける瞬間にいちゃつくのはやめていただけますか?」
礼白は通信器に向かって。
「いちゃついてない。」
「こちらからははっきり見えます。あの女があなたの手にキスした。そしてあなたの擦り傷が治った。首相様、私は空でこの狂った女に追い回され、あなたは下で美少女にキスされている。これが公平だと思いますか?」
「ちゃんと戦え。」
「ちゃんと戦ってます!」
通信チャンネルに銃声が流れる。砂漠色のメカが広場で転がり、黒いメカの尾を避ける。尊爵の呼吸は重い。
あの女の声がまた響く。より大きな声で。より狂気じみて。
「これが機体性能の差だあはははは!」
黒いメカの紫色の残影が空中で連続して瞬く。瞬くたびに曲がった光の痕を残す。尊爵の機関砲は追いつけない。35ミリ弾が何枚かのショーウィンドウを粉砕するが、一発も相手に当たらない。
「まったく。」
尊爵は歯の間からこの言葉を絞り出す。
皇女は礼白の隣に立ち、広場の戦いを見ている。彼女の表情はとても冷たい。
そして彼女が口を開く。
「いつまで遊んでいるつもり?」
彼女の声は大きくないが、通信器が拾っている。
「帰ってから習慣になって、私に血祭りにされるのを待っているの?」
通信チャンネルが一秒静まる。
そして尊爵が笑う。
「まったく。」
彼は言う。
「よし。見てろ。」
砂漠色のメカが突然移動を止める。立ち止まる。機関砲を下ろし、匕首を収める。両手を体側に垂らす。
黒いメカが側面から突進してくる。尾の紫色の光刃が極限まで輝く。
相手が命中しようとした瞬間。
尊爵が動いた。
メカが一歩前に踏み出す。極めて速い、短い格闘技。左腕で相手の尾を払い、右拳を黒いメカの胸に叩き込む。
そして横蹴り。
砂漠色のメカの右足が黒いメカの側腰を掃く。金属の衝突音が轟く。黒いメカの機体が横に吹き飛び、広場の端の灯柱に激突する。灯柱が折れ、火花が散る。
黒いメカが地面に倒れる。V字形の紫色の目はまだ輝いているが、機体は動かない。
砂漠色のメカが歩み寄る。一脚を黒いメカの胸に踏みつける。機関砲を再び持ち上げ、銃口を相手の操縦舱の位置に当てる。
尊爵の声が外部スピーカーから流れる。平静に。冷たく。
「機体性能の差は勝敗を決める唯一の条件じゃない。」
彼は少し間を置く。
「よく覚えておけよ。この野郎。」
黒いメカの中の女は答えなかった。ただ息遣いだけが。途切れ途切れに。
そして通信が切れた。
――
地上。
礼白が立ち上がる。少女はまだ彼にもたれかかり、目を閉じている。皇女は小型拳銃を収め、その少女を一瞥し、それから礼白を見る。
「彼女はどうする。」
礼白は自分の肩に寄りかかる少女を見下ろす。彼女の呼吸はとても軽く、眠っているようだ。
「連れて行く。」
彼は言う。
「言いたいことがある。」
皇女は彼を二秒見つめる。そしてうなずく。
遠くの広場で、砂漠色のメカが黒いメカの胸から足を戻す。メカの胸には灯りが点り、関節から煙が漏れている。
尊爵が通信器で息を切らす。
「首相様。あの黒いのはどう処理しますか。」
「まず戻れ。」
「了解。だが――この女はどうする。」
「どの女だ。」
「黒い機体を操縦していた女です。まだ操縦舱の中にいます。気を失っているようです。」
礼白は少し考える。
「連れて帰れ。」
「分かりました。」
砂漠色のメカがかがみ、黒いメカの操縦舱をこじ開ける。中の者が引き出される。紫色の髪。黒い操縦服。気を失っている。
礼白はこの光景を見る。
そして彼は自分の肩に寄りかかる和服の少女を見下ろす。
治癒魔法を使う少女。魔神武装を操る女。
日初群島。
「ますます面白くなってきた。」
彼は低く言う。
リリムはいない。女皇もいない。
だが彼は、この二人が戻ったら多くのことを言いたがるだろうと感じていた。




