第3話 最強!
「よーーし、最強の装備も整ったことだし、ここからは自由気ままに異世界ライフを満喫しちゃうぞ!」
世紀末仕込みのトゲトゲ肩パッドをギラつかせながら、俺は一人で街の外へと繰り出した。
目指すは、俺の戦闘力をさらに試してくれる手頃な獲物だ。
ウキウキ気分で街道沿いを歩き回っていると、ふと近くの茂みの奥から「キャーッ!」という、いかにもイベント発生を告げるような可憐な悲鳴が聞こえてきた。
「お? さっそくお約束の美少女ピンチイベントか!?」
慌てて駆けつけると、そこには絵に描いたような柄の悪い男たちが、一人の美少女を取り囲んでいた。
衣服を剥ぎ取られそうになり、涙目で震える少女。男たちはゲスい笑みを浮かべて迫っている。まさに犯されちゃう寸前の超大ピンチだ!
「おいおい、やめないか、君たち!」
「あんだぁ、テメェ……ぶっ殺され――」
男が言い切るより早く、俺はトップスピードで突撃した。
繰り出すのは俺の代名詞。体重をフルに乗せた、全力の『ショルダーアタック』!!
――ドゴォォォンッ!!!
「ぎゃああああ!?」
「ぶふぇっ!?」
特注肩パッドが男たちの胸や顔面にモロに突き刺さり、肉が弾ける鈍い音が響く。
二人の男は骨を粉砕されながら吹き飛び、地面に激突してピクピクと白目を剥いて昏倒した。
「ふん、仕上げだ」
俺は腰の大剣をさっと引き抜くと、意識を失った男たちの首筋へ容赦なく剣を突き立て、確実にトどめを刺した。
前世の社畜時代に比べれば、悪党の命を奪うことなんて些細なストレス発散に過ぎない。
その瞬間、俺の脳内に無機質な美しい声が響き渡った。
『ピコーン♪ 条件を達成しました。剣術スキル【ストームスラッシュ】を習得しました』
「おおっ! 技まで覚えた! やっぱり俺ってば主人公補正の塊じゃん!」
大剣をシャキィィンと鞘に収め、怯える少女に手を差し伸べる。
「大丈夫かい、お嬢さん?」
「は、はい……! お助けいただき、ありがとうございます……!」
少女は潤んだ瞳で俺を見上げてきた。
彼女の名前はエミリア。訳あって奴隷の身分らしく、行くあてもないという。
「なら、俺が引き取ってやるよ。これからは俺のそばにいな」
「本当ですか……!? はい、喜んでどこまでもお供します、ご主人様!」
エミリアは満面の笑みを浮かべ、嬉しそうに俺の腕に抱きついてきた。
奴隷の美少女を速攻でゲット。俺のハーレム計画は順調そのものだった。
◇
それからしばらくのこと。
俺とエミリアが街道を歩いていると、前方に激しい戦闘の煙が見えた。
見れば、立派な馬車が多数の盗賊たちに襲撃されている。
「ご主人様、馬車が!」
「ふむ……誰が乗っているかは知らないが、俺の『勘』が告げている。あの豪華な馬車には、絶対に高貴でチョロ可愛いお姫様が乗っているはずだ!」
下心がエネルギーに変わる。俺はエミリアを後ろに待機させ、大剣を抜いて盗賊の群れへと躍り出た。
「ヒャッハー! トゲトゲ肩パッドと大剣のサビにしてやるぜぇ!」
新スキルの出番だ。俺は大剣を大きく振りかぶる。
「喰らえ! 【ストームスラッシュ】!!」
凄まじい烈風の斬撃が巻き起こり、盗賊たちを肉片へと変えていく。
逃げ惑うやつらには、容赦なくトゲトゲショルダーアタックをブチかます。
まさに一方的な蹂躙。あっという間に盗賊たちを鏖殺してやった。
返り血を拭いながら馬車の扉を開けると、そこには案の定、まばゆいばかりの美貌を持った金髪の美少女が縮こまっていた。
「も、もしや、私を助けてくださったのですか……?」
「ああ、怪我はないかい? お嬢さん」
彼女の名前はアリシア。なんと、この地を治めるユーテリア王国の第一王女様だった!
予想通りの神展開に、俺のニヤニヤが止まらない。
◇
アリシア姫を送り届ける形で、俺とエミリアは王城へと招かれた。
謁見の間で、豪華な椅子に座る国王様が俺たちを大歓迎してくれる。
「おお、我が娘を救ってくれた英雄よ! そなたのその圧倒的な強さを見込んで頼みがある。この国を脅かす悪人や魔物を討伐してはくれまいか?」
「いいですよ。でも、俺、結構やりすぎちゃうタイプなんですけど」
「ガハハ! 構わん! 多少の羽目を外すことなど、お前の功績に比べれば些細なことよ。好きに暴れるが良い!」
国王様のお墨付きをゲット!
これでどれだけ「ぶつかり」を極めても無罪放免だ。
すると、隣にいたアリシア姫が頬を赤らめて一歩前に出た。
「お父様! 私、ヒロシ様と共に行動したいです! 彼の戦いを近くで見守りたいのです!」
必死に懇願するアリシア。
「む、むう……。アリシア、それは危険では……しかし、英雄の側なら安心か。……分かった、渋々だが許可しよう」
こうしてアリシア姫も俺のパーティー、というか、俺のハーレムに正式に加入することになった。
それからの俺の快進撃は止まらなかった。
「どけぇー! 邪魔だぁぁ!」
悪人どものアジトを見つけては、自慢のショルダーアタックで門ごと粉砕。
慌てて出てきたボスや幹部どもを、【ストームスラッシュ】でまとめて微塵切りにする。
エミリアとアリシアの二人は、「さすがヒロシ様です!」「まぁ、なんてお強いの!」と、後ろから熱い声援を送るサポート(精神的癒やし)に徹してくれた。
可愛い女の子たちに褒められて、悪党を合法的にボコれる。控えめに言ってこの異世界、最高すぎる。
◇
そしてある日。俺たちは「山の洞窟に凶悪なドラゴンが棲みついた」という噂を聞きつけ、退治にやってきた。
洞窟の奥にいたのは、立派な家一軒ぶんほどもある巨大なレッドドラゴン。
「グルァァァァァッ!!」
「トカゲ風情が、俺のトゲトゲの前にひれ伏せ!」
ドラゴンのブレスを強靭な肉体で強引に突破し、俺は至近距離からジャンプ。
全体重を乗せた超ド級のショルダーアタックを、ドラゴンの脳天に突き刺した!
――ズガァァァァンッ!!!
「ギ、ギニャァァァァッ!?」
あまりの衝撃に、ドラゴンは頭から地面に叩きつけられて悶絶する。
仕上げに【ストームスラッシュ】で首をハネてとどめを刺そうと、大剣を振り上げた――その時だ。
まばゆい光がドラゴンを包み込み、その巨体がみるみるうちに縮んでいく。
「ふぇぇぇん! 痛いよぅ、もう許してぇぇ!」
光が収まったあとに床にへたり込んでいたのは、頭に小さな角を生やし、ドラゴンの尻尾をパタパタと揺らす、めちゃくちゃ可愛いロリ巨乳の美少女だった。
「……あれ? ドラゴンが女の子になっちゃった」
「ヒロシ様、この子、ドラゴンの化身です!」
少女は涙目で俺を見上げ、きゅるんとした瞳で命乞いをしてくる。
「私はアメリア……。悪さはもうしないから、殺さないでぇ……。なんでも言うこと聞くからぁ……」
なんでも言うことを聞く、ドラゴン属性の美少女。
……うん、殺す理由がどこにある? いや、無い(反語)。
「よし、アメリア。お前も今日から俺のハーレムの一員だ!」
「ふぇ? はーれむ? よく分からないけど、お兄ちゃんについていくー!」
こうして、奴隷の美少女エミリア、気品溢れるアリシア姫、そして最強のドラゴン娘アメリアを従えた、俺のトゲトゲぶつかり異世界ハーレムライフは、ますます賑やかになっていくのだった!




