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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、宗教国家まで改革された  作者: 慈架太子


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304/322

302話:学問都市

共和国中央都市。


夜明け。


巨大鐘が鳴る。


同時に。


都市全体が動き始めた。


物流荷車。


建築隊。


教師団。


工業職人。


農業研究員。


共和国中央都市は、

もはや単なる首都ではない。


文明中枢。


そこへ変わり始めていた。


共和国中央大学建設区。


広大。


旧王国時代なら、

一つの貴族都市が丸ごと入る規模。


そこへ。


無数の建築師達が集まっていた。


土属性建築。


石加工。


水冷却。


風搬送。


全部連動。


共和国建築は速い。


理由は単純。


教育済みだから。


巨大図面が広げられる。


中央講堂。


巨大図書館。


農業研究棟。


工業開発区。


魔力循環研究院。


治癒研究区。


物流統計棟。


索敵研究区。


教育理論棟。


共和国は、

大学を「学校」にしなかった。


文明研究機関。


そこを目指している。


工業教師が声を張る。


「東区石材搬入!」


「魔力循環炉起動!」


「搬送遅らせるな!」


建築現場が一斉に動く。


巨大石材が浮く。


風魔法。


土魔法。


身体強化。


全部組み合わさる。


昔。


建築は力仕事だった。


共和国では違う。


技術。


理論。


分業。


だから速い。


中央建設台。


セレス・レイヴンが図面を見ていた。


共和国工業統括官。


冷静。


合理。


現実主義。


共和国工業化の中心人物。


隣では、

フェルド・レイヴンが物流計画を確認している。


建材搬送。


人員配置。


食料供給。


全部繋がっている。


セレスが静かに言う。


「図書館区、

予定より早いわね」


フェルドが頷く。


「物流が安定してる」


「地方木材供給も問題ない」


共和国では、

巨大建設が止まらない。


物流が止まらないから。


そこが大きい。


遠く。


巨大基礎部分が見える。


共和国中央図書館。


世界最大級。


本を集める場所。


知識を循環させる場所。


共和国は理解していた。


食料だけでは、

文明は続かない。


知識も備蓄が必要。


そこへ到達していた。


若い教師達が興奮している。


「本当に作るんだ……」


「全部読めるのか?」


「地方研究記録も集まるらしい」


共和国では、

知識が貴族独占ではない。


そこが異常だった。


中央農業研究区。


広大農地。


普通の畑ではない。


研究用。


土壌実験。


品種改良。


保存研究。


輪作研究。


全部行われている。


農業教師達が議論していた。


「北方耐寒種は?」


「南部湿地用改良種は?」


「土壌循環率を上げろ」


共和国農業。


もはや経験則だけではない。


理論化され始めている。


農民出身教師が笑う。


「昔なら、

畑研究とか頭おかしい扱いだぞ」


隣の教師が吹き出す。


「共和国だぞ?」


「今さらだ」


誰も否定しない。


共和国は、

毎回常識を壊す。


中央魔力循環研究棟。


巨大施設。


青白い光。


魔力循環炉。


共和国最高研究区。


ピーターが研究資料を見ていた。


魔力循環理論。


吸収効率。


身体負荷。


回復速度。


全部数値化されている。


昔。


宿で寝れば回復。


その程度だった。


共和国は違う。


理論化。


教育化。


体系化。


だから民全体が強くなる。


若い研究教師が報告する。


「初等循環教育導入地域、

疲労病激減しています」


ピーターが頷く。


「回復知識が普及したからです」


「無理な魔力運用が減った」


共和国では、

「知らない」が減る。


そこが重要だった。


中央治癒研究区。


ミネルバが子供達を見ていた。


治療教育実習。


若い治癒師達が動いている。


衛生。


治癒。


感染対策。


栄養管理。


全部教える。


共和国では、

治癒も研究対象。


経験論で終わらない。


若い治癒師が言う。


「共和国以前って、

手洗いすら徹底されてなかったんですね……」


老治癒教師が頷く。


「ああ」


「だから病で死んだ」


静かな言葉。


だが。


重い。


共和国以前。


病は日常だった。


今。


治療理論。


衛生教育。


食料改善。


循環理論。


全部繋がっている。


だから死なない。


中央索敵研究区。


風が流れる。


リシェルが巨大地図を見ていた。


共和国索敵教師団。


北方索敵教師団。


大量の弟子達。


共和国最強級索敵教師。


彼女は、

戦闘だけの存在じゃない。


生活索敵を普及させた女。


リシェルが地図へ指を置く。


「山岳部魔物移動あり」


即座に弟子達が動く。


索敵網更新。


物流街道修正。


共和国では、

索敵は軍事だけじゃない。


災害予測。


遭難防止。


物流安全。


全部支えている。


若い弟子が呟く。


「先生、

これもう軍隊以上ですね……」


リシェルが小さく笑う。


「生活を守る方が難しいのよ」


誰も反論出来ない。


共和国は、

「生きる」を維持している。


だから強い。


共和国中央都市外周。


巨大街道。


そこへ。


各国視察団が到着していた。


帝国。


北方同盟。


旧宗教国家。


南部商業国家。


全部来ている。


理由は単純。


大学。


世界が理解出来ないから。


帝国視察官が呟く。


「……都市全体が学問施設だ」


北方教師団も驚いている。


「学校数が異常だ」


「子供率も高い……」


共和国では、

子供が多い。


死なないから。


食えるから。


未来があるから。


そこが文明だった。


帝国側。


皇后マーガレット直属視察官も到着している。


若い女性官僚が呟く。


「皇后陛下の言葉通りですね」


「共和国は、

戦争国家じゃない」


「文明国家です」


誰も否定出来ない。


共和国中央都市。


もはや。


首都じゃない。


学問都市。


文明研究都市。


世界初。


知識循環都市。


そこへ変貌し始めていた。


夕方。


建設中の中央講堂。


巨大骨組み。


グロマールが静かに見ていた。


隣へ。


セレスが来る。


風が吹く。


遠く。


大量の教師達。


学生達。


研究者達。


全部動いている。


セレスが静かに笑った。


「ここまで来たわね」


グロマールは否定しない。


「ああ」


短い返事。


でも。


視線は遠い。


学校。


研究。


教育。


農業。


工業。


全部繋がっている。


共和国は、

もう「国」だけではない。


文明そのものへ変わり始めていた。







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