表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、宗教国家まで改革された  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

303/322

301話:大学

共和国中央教育院。


夜。


巨大施設。


まだ灯りが消えていない。


教師達が働いていた。


教材。


統計。


教育記録。


人口推移。


職業適性表。


共和国では、

教育が国家中枢だった。


だから。


教師達は忙しい。


共和国人口。


三千万人目前。


都市拡大。


農地拡大。


工業拡大。


出生率増加。


全部順調。


だからこそ。


教育需要が限界を超え始めていた。


中央教育院会議室。


巨大円卓。


共和国主要教師達が集まっている。


ピーター。


ミネルバ。


セレス・レイヴン。


索敵教師リシェル。


工業教師団。


農業教師団。


治癒教師団。


共和国最高教育陣。


机上には、

大量の資料。


教師不足。


学校不足。


地方教育格差。


新生児増加率。


全部並んでいる。


若い教師が疲れた顔で言った。


「地方学校、

教師数が追いつきません」


別の教師も頷く。


「中央卒業者を回しても、

足りない」


「人口増加速度が想定以上です」


共和国では珍しくない。


問題が発生する。


すぐ共有される。


隠さない。


だから強い。


ピーターが資料を見ていた。


かつて。


泣き虫だった少年。


今では共和国教育の中心。


誰よりも。


教育の限界を理解していた。


ピーターが静かに言う。


「教師育成速度が、

共和国拡張速度に負け始めています」


会議室が静かになる。


深刻だった。


共和国の根幹。


教育。


そこが詰まれば、

循環が止まる。


セレスが腕を組む。


「工業側も限界が近いわ」


「現場指導出来る上級教師が足りない」


「農業区も同じ」


農業教師が頷く。


「地方農地が広がり過ぎてる」


「新人教師だけでは回らない」


共和国以前。


教師は少数だった。


今。


教師数は数百万。


それでも足りない。


理由は単純。


共和国は、

全員教育するから。


ミネルバが静かに資料を見る。


孤児院人口。


初等教育。


治癒教育。


全部増えている。


「……子供達が多いんです」


優しい声。


でも。


嬉しい問題だった。


昔。


孤児は死んだ。


今。


生きる。


だから増える。


共和国は、

「死なない文明」へ近づいていた。


その時。


会議室後方。


静かに座っていたリシェルが口を開く。


「索敵教育も限界が近い」


全員が視線を向ける。


索敵教師リシェル。


共和国最強格の索敵教師。


全属性索敵魔法運用。


探索。


転移。


剣豪。


拳豪。


共和国でも、

異常な実戦能力を持つ女。


そして。


共和国最大派閥の索敵教師団を作った女。


ベルセリア北方索敵教師の大半は、

リシェルの弟子だった。


リシェルが静かに続ける。


「弟子の弟子が、

もう教師側へ回ってる」


「現場経験不足が増えてる」


「知識継承速度が足りない」


そこが重要だった。


共和国は、

才能依存ではない。


教育依存。


だから。


「教育者の教育」が必要になる。


ピーターが静かに息を吐く。


そして。


口を開いた。


> 「教育を維持する教育機関が必要です」


会議室が静まる。


誰も否定しない。


必要だった。


共和国は、

もう村じゃない。


国家ですらない。


文明規模へ入っている。


だから。


教師養成だけでは足りない。


研究。


理論。


統計。


専門教育。


全部必要。


ピーターが資料を机へ置く。


「共和国初の高等教育機関を作ります」


「教師を育てる教師」


「研究する教師」


「文明を前進させる教師」


静かな声。


だが。


重かった。


セレスが目を細める。


「……大学」


ピーターが頷く。


共和国中央大学。


世界初。


本格高等教育機関。


構想始動。


会議室空気が変わる。


若い教師が呟く。


「そこまで行くんですか……」


ピーターが静かに答える。


「共和国は、

もう止まれません」


誰も反論出来ない。


共和国は、

循環し続ける。


だから拡張する。


だから知識が必要。


知識独占では足りない。


知識循環。


そこへ到達し始めていた。


共和国中央都市。


翌朝。


建設区域。


巨大更地。


既に工兵達が動いている。


土属性建築師。


石加工師。


測量教師。


全部集まっている。


共和国建築は速い。


理由。


教育済みだから。


若い工業教師が図面を広げる。


「中央講堂」


「研究棟」


「魔力循環理論棟」


「農業実験区」


「治癒研究院」


「物流統計区」


次々説明される。


共和国大学。


もはや学校ではない。


文明研究施設。


そこへ近い。


ジミーが呆れた顔をする。


「本当に作るのかよ……」


セレスが苦笑する。


「あなた、

今さら何言ってるの」


「共和国よ?」


ジミーが頭を掻く。


「いや、

毎回規模がおかしいんだよ」


誰も否定しない。


共和国は、

毎回規模が狂っていた。


農地。


物流。


教育。


工業。


全部。


国家規模を超えている。


その奥。


グロマールが建設予定地を見ていた。


静かに。


共和国創設者。


英雄ではない。


循環開始者。


彼は騒がない。


いつも通り。


現場を見る。


人を見る。


流れを見る。


リシェルが隣へ来た。


風が揺れる。


「大学ね」


グロマールが頷く。


「ああ」


「必要だ」


リシェルが遠くを見る。


工事。


教師。


学生候補。


全部動いている。


「昔、

文字読めるだけで特別だったのに」


グロマールが静かに言う。


「今は足りない」


そこが共和国だった。


進めば進むほど、

必要水準が上がる。


止まらない。


リシェルが少し笑う。


「本当に、

世界変えたわね」


グロマールは否定しない。


でも。


少し違う。


「変えたのは、

教育だ」


短い言葉。


だが。


リシェルは理解していた。


共和国以前。


才能は埋もれた。


貧困。


病。


飢餓。


教育不足。


全部。


人間を潰していた。


今。


共和国は違う。


才能を探す。


育てる。


循環させる。


だから文明が伸びる。


建設区域奥。


大量の若者達が集まっていた。


元孤児。


元農民。


元兵士。


共和国大学志願者。


彼らは笑っている。


未来があるから。


そこが大きい。


昔。


未来は貴族の物だった。


今。


民が未来を持つ。


共和国初。


大学建設。


それは。


学校ではない。


文明そのものを育てる場所だった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ