表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、宗教国家まで改革された  作者: 慈架太子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

208/322

206話:交換留学

循環領。


帝国。


北方国家ベルセリア王国。


三国。


正式協定締結。


名目は。


交換留学。


だが。


実態は。


世界構造改革だった。


循環領中央学院。


朝。


巨大な広場。


そこに。


各国の若者たちが集まっていた。


帝国貴族子弟。


ベルセリア王国の寒冷地農民。


循環領教師候補。


工兵見習い。


鍛冶師。


治癒師。


武闘救援団候補。


年齢も。


身分も。


全部違う。


だが。


全員。


同じ服。


同じ教本。


同じ寮。


帝国貴族の少年が困惑していた。


「……平民と同室なのか?」


隣のベルセリア少女が睨む。


「嫌なら帰る?」


空気が凍る。


そこへ。


セレスが来た。


冷静。


相変わらず鋭い目。


「喧嘩するなら外でやって」


「でも」


「ここでは身分より結果」


「理解できないなら向いてない」


静か。


だが。


全員黙る。


循環領では。


本当にそうだった。


貴族でも。


農民でも。


結果を出す者が上。


教育。


技術。


努力。


環境。


それだけで変わる。


帝国側教師が呟く。


「……本当にやるのか」


隣のピーターが笑った。


「はい」


「だから意味があるんです」


広場中央。


グロマールが立つ。


静か。


目立たない。


だが。


全員が注目する。


グロマールが短く言う。


「知識は止めない」


「人も止めない」


「循環させる」


それだけだった。


派手な演説はない。


だが。


妙に響いた。


交換留学。


最初に提案したのは。


セレスだった。


道路。


通信。


物流。


全部繋がった。


なら。


次は人。


技術だけでは足りない。


人材そのものを循環させる。


それが必要だった。


帝国。


人口三百万。


巨大。


行政力が必要。


ベルセリア。


人口二十万。


寒冷地技術が強い。


循環領。


教育と流通が強い。


全部違う。


だから。


交換する。


学び合う。


それだけで。


国が変わる。


午前。


授業開始。


帝国行政組。


記録。


統計。


物流管理。


会計。


行政スキル教育。


教師は。


帝国行政官。


かつて腐敗していた役人たち。


今は違う。


全員。


行政スキル保持者。


数字を見る。


現実を見る。


誤魔化さない。


それだけで。


組織が変わっていた。


ベルセリア組。


寒冷地農業。


保存食。


断熱建築。


寒冷地綿花。


ベルセリア教師メリーが教えていた。


「寒い土地では」


「保存が命です」


「冬を越えられないと終わる」


循環領の農民たちが真剣に聞く。


逆に。


循環領側は。


水路。


排水。


物流。


加工。


輸送。


全部教える。


世界が少しずつ混ざっていく。


昼。


食堂。


巨大。


人で溢れている。


帝国貴族子弟が驚いていた。


「……全員同じ飯?」


循環領学生が頷く。


「うまいぞ」


実際。


美味かった。


ベルセリア風いも煮スープ。


大量野菜。


干し肉。


発酵調味料。


温かい。


寒冷地学生たちが笑顔になる。


「懐かしい……」


ベルセリア教師が少し泣いていた。


昔。


北方国家は貧しかった。


飢えた。


凍えた。


今は違う。


交換留学制度。


物流。


保存食。


教育。


全部繋がった。


だから。


冬でも死なない。


午後。


武闘訓練場。


帝国武闘救援団。


循環領防衛隊。


ベルセリア索敵隊。


合同訓練。


剣神。


拳神。


槍聖。


索敵教師。


全部混ざる。


昔なら。


絶対争った。


今は違う。


ピーター兄弟子構造。


全員。


同じ系統。


だから。


仲がいい。


槍神ヴァルツがベルセリア青年に笑う。


「索敵うまいな」


青年が頭を下げる。


「リシェル先生に鍛えられました」


帝国側が驚く。


「北方にも索敵教師いるのか?」


いる。


しかも増えている。


交換留学。


それは。


技術拡散だった。


夕方。


工房区画。


帝国鍛冶師。


循環領工業鍛冶師。


ベルセリア寒冷加工職人。


全部混ざる。


鉄。


布。


革。


木材。


加工速度が異常だった。


帝国鍛冶師が呟く。


「……寒冷地綿花をこう使うのか」


ベルセリア職人が頷く。


「保温性が高い」


「さらに乾燥が早い」


循環領商人たちが計算開始。


ジミーが笑う。


「これ売れるな」


商売鑑定スキル。


相変わらず恐ろしい。


彼はもう。


完全に物流の化け物だった。


夜。


寮。


帝国貴族子弟。


ベルセリア農民。


循環領孤児出身教師。


同じ部屋。


最初は空気が悪かった。


だが。


少しずつ変わる。


帝国少年が言う。


「……お前」


「どうやって覚醒した?」


ベルセリア少女が答える。


「毎日勉強」


「毎日訓練」


「教師がいた」


帝国少年が黙る。


それだけ。


本当に。


それだけだった。


才能が無いと思っていた。


違った。


環境が無かった。


教育が無かった。


それだけ。


外。


グロマールが夜空を見る。


隣にはセレス。


セレスが静かに言う。


「国境の意味」


「変わり始めたわね」


グロマールが頷く。


道路。


物流。


通信。


教育。


全部繋がった。


だから。


人が混ざる。


そして。


混ざった人間は。


昔に戻れない。


セレスが笑う。


「面白い時代になったわ」


遠く。


帝国留学生たちが笑っている。


ベルセリア学生たちが歌っている。


循環領教師が教えている。


国は違う。


言葉も少し違う。


文化も違う。


だが。


学ぶ。


支える。


回す。


それだけは同じ。


ピーターが静かに呟いた。


「……世界」


「変わりますね」


ミネルバが優しく笑う。


「はい」


「きっと」


ゆっくり。


だが確実に。


世界は変わり始めていた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ