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戦わずに世界を変えた男――教育と物流で“循環国家”を作ったら、宗教国家まで改革された  作者: 慈架太子


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142/322

142話:夜警

夜。


グランゼル。


以前なら。


人が最も恐れる時間だった。


暗闇。


酔漢。


盗賊。


暴力。


貧困。


寒さ。


夜になるほど人は荒む。


生きる余裕が無いからだ。


だが。


今。


夜の街は違っていた。


魔力灯。


白い光。


通りを照らす。


夜市。


食堂。


鍛冶工房。


笑い声。


子供達。


巡回する夜警。


街が。


生きている。


中央通り。


夜警隊が巡回していた。


以前の夜警。


酔っ払いの集まり。


賄賂。


暴力。


見て見ぬふり。


今。


別物。


身体強化。


索敵。


拘束魔法。


さらに。


戦闘系スキル。


覚醒者。


質が違う。


夜警隊長が報告する。


「犯罪率」


「先月比で四割減です」


行政官が目を見開く。


「……四割?」


「まだ減ってます」


理由。


単純。


民が豊かになった。


食べられる。


仕事がある。


教育がある。


そして。


夜が明るい。


犯罪は。


闇と貧困で増える。


逆なら減る。


さらに。


夜警そのものが強い。


盗賊達。


既に理解していた。


今のグランゼルで暴れれば終わる。


逃げられない。


索敵される。


拘束される。


しかも。


民達そのものが強い。


以前のように。


弱者を狙えない。


夜警詰所。


若い隊員達が笑っている。


「最近マジで平和だな」


「酔っ払い減った」


「盗難も減った」


隣の隊員が苦笑する。


「そりゃ身体強化覚醒した荷運び相手に喧嘩売る奴いねぇよ」


全員笑う。


以前。


夜は恐怖。


今。


夜は生活時間。


文明が変わり始めていた。


同時に。


狩り部隊。


さらに異常進化していた。


城壁外。


演習場。


剣閃。


轟音。


土煙。


隊員達が訓練している。


そして。


再覚醒。


急増。


戦闘系スキル保持者達。


さらに上へ進化していた。


剣豪。


剣聖。


その先。


剣神。


槍豪。


槍聖。


槍神。


拳豪。


拳聖。


拳神。


極豪。


極聖。


極神。


普通なら。


神話。


それが。


部隊単位で現れ始めていた。


原因。


皇帝。


皇帝スキル。


帝国全体へ影響が広がっていた。


指導者が強くなると。


民も育つ。


それは。


グロマール型。


教育循環の国家版。


ピーターは記録を見ながら静かに言う。


「……速すぎる」


隣の教師も頷く。


「帝国全体が覚醒段階に入ってますね」


「再覚醒率も異常です」


「しかも複数適正」


以前。


一属性だけでも才能。


今。


全属性適正保持者まで増えている。


魔法部隊。


さらに危険な進化を始めていた。


広域光魔法。


ピュリフィケーション。


本来。


高位聖職者の秘術。


アンデッド浄化。


呪詛破壊。


広域殲滅。


それを。


一般魔法部隊が習得し始めていた。


演習場。


夜。


光属性魔法使い達が並ぶ。


治癒師。


光術師。


騎士。


全部混成。


隊長が叫ぶ。


「同期!」


魔力循環。


光属性。


集中。


空気が震える。


次の瞬間。


巨大な白光。


空へ。


そして。


広域浄化。


轟音は無い。


静か。


だが。


凄まじい。


地面に残っていたアンデッドの残骸が。


一瞬で消滅した。


教師達が息を呑む。


「……嘘だろ」


「軍団級魔法だぞ」


「なんで量産されてる」


ピーターは静かだった。


理解していた。


教育。


環境。


食事。


魔力循環。


そして。


皇帝スキル。


全部重なっている。


今の帝国。


既に普通ではない。


夜。


行政塔。


ピーターは記録を整理していた。


数字。


人口。


覚醒者数。


識字率。


死亡率。


犯罪率。


全部。


上向き。


そして。


覚醒者数。


七万人突破。


ピーターが小さく呟く。


「あと半分」


まだ終わらない。


グランゼル人口。


十三万。


半数以上。


既に覚醒。


異常。


だが。


ピーターは止まらない。


全員。


覚醒させる。


それが目標。


教師が疲れた顔で笑う。


「先生」


「あと半分って」


「普通その数字国家戦力なんですけど」


周囲も苦笑。


だが。


誰も否定しない。


今なら。


本当に可能だと思えてしまう。


別の教師が資料を見る。


「再覚醒者も増えてます」


「特に戦闘系」


「身体強化との相性が異常ですね」


「あと」


「索敵系も」


最近。


狩り部隊。


夜警。


騎士団。


全部強くなりすぎていた。


しかも。


実戦経験が毎日積まれる。


成長速度が異常。


ピーターは少し考える。


「……嫌な感じですね」


教師達が静まる。


全員。


同じことを感じていた。


強くなりすぎている。


世界の均衡が。


動いている。


そして。


アンデッド。


あれも気になる。


夜。


索敵報告。


地下反応。


増加。


しかも。


移動している。


誰かが操っている可能性。


高い。


レオハルトも会議室に来ていた。


地図を見る。


「旧地下墓地か」


「はい」


「複数あります」


「さらに古戦場も」


帝国。


長い歴史。


つまり。


死体も多い。


アンデッド災害が起きれば。


最悪。


都市崩壊。


だが。


今のグランゼルは以前と違う。


光属性保持者。


大量。


ピュリフィケーション保持者までいる。


戦える。


レオハルトが静かに言う。


「守るぞ」


「この街を」


誰も反論しない。


窓の外。


夜景。


光。


人。


笑顔。


生きる音。


それを。


失わせない。


夜警達が巡回する。


魔力灯の下。


犯罪者を拘束する。


迷子の子供を家へ送る。


酔っ払いを介抱する。


以前。


恐怖だった夜。


今。


人を守る時間へ変わっていた。


そして。


その変化を見ながら。


ピーターは思う。


環境が変われば。


人は変わる。


本当に。


それだけだったのだと。


世界は。


最初から。


壊れていた訳ではない。


育て方を。


知らなかっただけなのだと。












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