80話 冒険者ギルド11
80話にしてようやっとギルド登録とか(笑)
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ギルドの中へ戻ると、ホニャは振り返りもせず片手を軽く上げた。
「エマ、あとは任せる。」
それだけ言い残すと、ギルドの奥にある階段を上がり、そのまま二階の部屋へと姿を消した。
エマは一例すると、受付カウンターの内側へ戻る。
「では、エドさん。冒険者ギルドへ登録するにあたり、いくつかご説明させていただきます。」
そう言って、一枚の羊皮紙をカウンターへ広げた。
「まず、冒険者ギルドとは世界各地に支部を持つ独立組織です。」
「特定の国家や宗教、あるいはその他の勢力には属さない、中立の営利団体です。」
エドは静かに耳を傾けた。
「活動内容は多岐にわたります。魔物討伐や護衛依頼はもちろん、物流支援、未踏地の調査、資源の探索なども重要な仕事です。」
エマは静かに微笑む。
「依頼があれば街道整備や清掃活動などを請け負うこともありますので、簡単に言えば何でも屋さんと思っていただいて構いません。」
エドは小さく頷いた。
エマは胸元へ手を添える。
「こちらが冒険者ギルドの紋章です。」
そこには開いた本、一振りの剣、そして二枚の金貨が描かれていた。
「この紋章は『開書剣貨』と呼ばれています。」
エマは一つひとつ指差しながら説明する。
「本は知力、剣は武力、金貨は財力。それぞれが冒険者ギルドを支える三つの柱です。」
そして静かに続けた。
「知力だけでも、武力だけでも、財力だけでもギルドは成り立ちません。」
「この三つすべてが揃って初めて、冒険者ギルドは存在できます。」
エドは改めて紋章を見つめた。
思っていた以上に、この組織には明確な理念があるらしい。
「登録が完了すると、ギルドが仲介する依頼を受けられるようになります。」
エマは依頼掲示板へ視線を向ける。
「依頼を受ける際は掲示板から依頼書を受付までお持ちください。」
「依頼達成後、再び受付へご報告いただき、達成条件を満たしていることが確認できましたら報酬をお支払いいたします。」
さらに続ける。
「登録者はギルド併設の酒場や宿を割安で利用できるほか、医療支援や貨幣の預かりなども受けられます。」
エドが少し驚いたような表情を見せる。
「そんなこともしてるんですね。」
「はい。」
エマは笑顔で頷いた。
「また、認識票は世界共通の身分証としても利用できます。」
「ランクによっては、通常立ち入りが制限されている区域へ入る許可証として扱われることもあります。」
続いて、エマは棚から色の違う認識票をいくつか取り出した。
「冒険者にはランク制度があります。」
白い認識票を持ち上げる。
「まずは見習いであるホワイトランク。登録したばかりの方は全員ここからです。」
次に銅色の認識票。
「続いてブロンズランク。危険性の低い討伐依頼などを請け負えるようになります。ここまでが初心者ですね。」
さらに黒鉄色。
「アイアンランク。多くの冒険者がこの辺りで活動しています。」
銀色。
「シルバーランク。中堅冒険者と呼ばれる実力者です。ちなみにアイリーンさんが現在このランクになります。」
アイリーンが軽く肩手を上げた。
エマは続けて説明する。
「そして、今この場に見本は無いのですが、その上にはゴールド、プラチナ。」
最後に。
「最高位はオープンブックランクです。」
エドは思わず聞き返す。
「オープンブック?」
「はい。現在は空位の名誉階級ですが、多くの冒険者がこの称号を目標として日々研鑽を積んでいます。」
認識票をしまうと、エマは別の羊皮紙を取り出した。
「最後に、ギルドへ所属する者として守っていただく規約をご説明します。」
一つずつ羊皮紙に書かれた文字を指差しながら読み上げる。
「第一条、中立。冒険者は特定国家等の戦争へ参加してはなりません。」
「第二条、契約の遵守。正当な理由なく依頼を放棄してはなりません。」
「第三条、法令順守。活動地域の法律に従ってください。」
「第四条、道徳。法律の及ばない場所であっても、正しい行いを心がけてください。略奪や暴行などは厳しく処罰されます。」
「第五条、研鑽。常に向上心を持ち、未知を説き明かし、ギルドへの貢献を忘れないこと。」
説明を終えたエマは、契約書をエドの前へ差し出した。
「以上の内容へ同意いただけるようでしたら、こちらへ署名と血判をお願いいたします。」
エドは一通り目を通したあと、自分の名前を書き、出された針で小さく指先を傷つけて血判を押した。
エマは契約書を丁寧に受け取る。
「ありがとうございます。それでは登録処理を行ってまいりますので、少々お待ちください。」
そう言って受付の奥へ姿を消した。
数分後。
戻ってきたエマの手には、一枚の白い認識票が握られていた。
「お待たせいたしました。」
それを両手で差し出す。
「こちらがエドさんの認識票です。」
表には、
エド
ホワイト
と刻まれている。
裏面には、開いた本、一本の剣、二枚の金貨――冒険者ギルドの紋章、『開書剣貨』が精巧に刻まれていた。
エドは両手でそっと受け取る。
ひんやりとした金属の感触が掌へ伝わった。
小さな認識票だった。
それなのに、不思議と重く感じる。
ようやく、自分は冒険者になれたのだという実感。
「この認識票は身分証として利用できるほか、ギルド専用の魔道具による本人確認にも使用します。」
エマは穏やかに微笑む。
「大切なものですので、どうか紛失なさらないようお願いいたします。」
エドは認識票をぎゅっと握りしめた。
「はい。」
その返事には、自然と笑みが混じっていた。
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