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そうだ。奴隷を冒険者にしよう  作者: HATI


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第975話 魔石爆弾

 爆弾と聞いて思わずのけ反る。

 アズたちが守るように前に出た。

 ノラスは俺たちの様子を見て慌てて訂正する。


「安心してください。正しい手順を踏まなければただの魔石と変わりません。いきなり暴発などの心配はないですから」

「驚かせないでくれよ……」


 いきなり爆弾を見せられては心臓に悪い。


「ちょっと貸して」

「どうぞ。これ単体では起動しません」

「ふぅん」


 フィンはノラスから魔石爆弾を受け取る。

 見た目は手に持てるくらいの魔石だ。

 見たことのない模様のような線が掘られており、慎重に指でなぞっていく。


「分かるのか?」

「私を誰だと思ってんのよ。爆弾にはそれなりに詳しいわ」


 しばらく舐め回すように見た後、ノラスに爆弾を返す。


「共振がトリガーになってるみたい。たしかにこれなら危険は少ないかも」

「……一目でそこまで分かるとは驚きました。専用の魔道具を使用すると、それに反応して爆発する仕組みになっています。それ以外では決して起動しません」


 安全管理も怠ってはいないということか。

 敵の本拠地に持っていくのだから、戦闘で暴発したら大惨事だ。

 その辺は考えてあるらしい。


「私は少し休ませてもらうよ」

「奥にある仮眠用のベッドを使ってください」


 タリアが右腕を少し上げてノラスに返事をする。

 長い眠りから目覚めて早々に同族と戦ったのが堪えたのだろう。

 戦闘のダメージもありそうだ。


「部下の皆さんは……大丈夫そうですね。改めてシージを守っていただき感謝します。このお礼は必ず」

「それは落ち着いてから貰うとして、具体的な作戦を聞かせて欲しい」

「そうですね。といっても難しいことはなにもありません。作戦はタリアの機動力を活かして汚染地帯の中心部にこの魔石爆弾をありったけ投下し、起動させるだけです」

「爆弾はいくつ?」

「10個用意しました。最低限魔防壁に使用する分を除いた魔石を全て使用してあります。これ一つで魔防壁に大穴を開けられる威力はあるかと」


 魔防壁はドラゴニュートの魔法も防ぐ強固な壁だ。

 それを一撃で大穴を開けるということは、相当な火力がある。

 下手したら本気を出したエヴァリンの魔法並みか。

 まとめて爆発させると、相乗効果で凄まじい破壊力になる。


 それを10個用意しなければならないと判断したのだろう。

 うちから買っていった魔石の大半をつぎ込んで。

 もしこれが失敗したら、もう一度挑むだけのリソースはシージには残っていないと思われる。


「ヨハネ閣下。現地までタリアの護衛をあなたの部下の方たちにして頂きたい。少しでも作戦の成功率を上げるために」

「白く汚染された地には何があるか分からない。ですよね?」

「ええ。しかしやるしかありません」


 ドラゴニュートですらどうにもならなかった場所だ。

 一度了承したとはいえ、やはり懸念はある。

 答えの用意されていない決断は、いつだって荷が重いものだ。


「もしどうにもならないと判断したら彼女たちの判断で撤退します。そこだけは譲れません」

「それで引き受けてくれるなら是非もありませんよ」


 こうしてシージの反攻作戦は始まりを迎えた。


 具体的にはまず使徒であるスレイプニールを使って可能な限り接近し、体力を温存する。

 汚染区域では残りのドラゴニュートたちが待ち受けていると想定されるので、アズたちで彼らを引き付けてからタリアが中心部に向かう。


 中心部の詳しいことは不明のため、タリアが爆弾を投下しても起動させられない可能性がある。そのためアズたちにも起動用の魔道具を持たせる。


「投下にも失敗したら?」

「心配しなくても、私は死んでもこれを目的地に運ぶよ。抱えて突っ込んでもいい。これは私がやらなきゃいけないことなんだ」


 睡眠をとって回復したタリアが参加する。

 もしそうなったら爆発に巻き込まれることになり、生きて帰るのは不可能だろう。

 だが、そんなことは百も承知だというタリアの目にこれ以上何か言うのも憚られた。

 信じるしかあるまい。


「爆弾の起動が終わったら、できればどれくらい効果があったのか確認して頂きたい。中心部に落下した何かが破壊されたかどうか」

「それが周辺を白く汚染している原因ですよね」


 ……ノラスには言わなかったが、俺たちが得た情報と照らし合わせるとそれが太陽神やアズと同じく神と呼ばれる存在の可能性は高い。

 たしかに魔石爆弾をまとめて爆発させれば効果はあるだろうが、それで倒せるかというと疑問だ。


 アズを招き寄せて小声で話す。


「もし神がそこにいたとしたら、あれでも致命傷は与えられないだろう。もし相手が弱ってるなら仕留めてくれ。だが難しいなら無理はするな。太陽神の時も考えられる限りの協力と手段でようやくなんとかなったんだ」

「分かりました。やれそうならやります」


 神に対抗できるのは神だけ。

 それは太陽神連合国との戦いで痛感している。

 アズに何かあれば、俺たちは終わりだ。


「アズちゃんは強さ的には神の中でもかなり上澄みですから、負けることはないと思いますよ」


 コソッとエルザが混ざってくる。


「ですが、何か特殊な能力を持っているかもしれません。厄介なことがあるとすればそこです。土地を汚染していることからも、素の能力よりそっち寄りの神かも」

「結局戦うまでは分からないってことだな」


 本来のやり方は十分リサーチしてから、相手に対応した装備などを整えてアズたちを送り出すやり方だ。

 しかし今回のように前例のない相手にはぶっつけ本番でやるしかない。


 最後は信じるしかない、か。




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