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そうだ。奴隷を冒険者にしよう  作者: HATI


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第971話 お手並み拝見

 物事に対処する場合、先手を取るか後手を取るかを選択することになる。

 どちらにもメリットデメリットがあり、適切に選ばなければ大きな災害に繋がるだろう。


 そしてアズはそういった選択を間違わない。

 神の力を手に入れる前から第六感ともいうべき勘を持ち合わせていた。

 彼女の選択で窮地を脱したことも一度や二度ではない。

 そこに神の力も加わり、アズの言葉には疑問など一切持たない強い説得力があった。


「太陽神とはまた違う形でムズムズします。時間を与えるほど対処できなくなるタイプです」

「白くなった土地のことか」

「多分相手にとってそれが領地になった証、なんでしょうね。広ければ広いほど、私たちには不利になると」


 獣人が白い地に足を踏み入れただけで死に至る。

 人間も魔力の分多少マシだろうが、いずれは同じことになるだろう。

 もし海にも浸食が可能なら、文字通り死の海と化す。

 そうなってしまえば、海を越えてこの大陸に来ることすら不可能になりかねない。


「だが危険だぞ」

「危険じゃないことなんてあったかしら? 戦争にだって参加したのに」

「それはそうだが」


 アレクシアは今更だ、と態度で示していた。

 色々と無茶を頼んだことは事実だ。

 だからこそなるべく、危険なことはないようにしたかった。

 ……本当にいい部下を持ったと思う。

 彼女たちはもう奴隷でもないのだから、無理に従う必要はないのに。


「シージに来ると決めた時点でこうなると思ってた」

「まあ、そうですねー。ご主人様が行く先では大抵何か起こりますし」

「それ、ちょっと気にしてるんだぞ」


 フィンとエルザも前向きなようだ。


「私も参加します。これがドラゴニュートと関わる最後の機会になるかもしれません」

「ルーケも賛成、か。ならやろう」


 話は決まった。

 そして、方向性さえ決まればうちのチームは強い。

 ノラスとタリアの方は具体的な話に進んでいる。


「我々も参加します。他人事で済む話ではなさそうですから」

「それは助かります! いくらタリアが強いとはいっても、一人で進んで敵になったドラゴニュートに妨害されれば危険ですから」

「他の相手ならいくら来たって平気なんだけど、同族相手だとどうしてもな。しかしあんたたちは本当に強いのかい? ハーフの子はともかく、足手まといは危険なだけだよ。助ける余裕なんてなさそうだし」


 タリアの心配はもっともだ。

 強いがゆえに、周りを自分より弱いと思ってしまうのだろう。

 ドラゴニュートの血が流れているルーケ以外は特にそうみたいだ。


「少なくとも、期待に応えるだけの力は彼女たちにはありますよ」

「あんた自身は?」

「残念ながら私はあくまで役人かつ商人なので。それとこの子もただの子供です」


 ミーリアの頭を撫でる。

 俺と共にこの子も留守番だ。


「うーん。ちょっとばかり相手をしてもらおうかな。どのくらい強いのか知らないまま死地に行きたくはないから」

「それは構いませんけど……。外に出ますか?」

「いいね。寝起きの身体を起こすのに持ってこい――」


 そこまでタリアが喋った辺りで、忙しなくこっちに来る足音が聞こえた。


「参謀殿! 襲撃が来ました! 相手は三体!」


 すぐにドアが開かれ、獣人の兵士が叫ぶように報告する。

 誰が来たのかは聞かなくても分かる。

 これだけ急いで報告しにきたのだ。

 ドラゴニュートがシージを攻撃しに来たのだろう。


「相手から来たみたいだね。一人は私がやる。そっちに二人を任せてもいいかい?」

「分かりました。念の為聞いておきますけど、殺しても構いませんよね? 生かして捕虜にするのは難しいみたいですし」

「いいよ。そんなこと考えなくて。もう何度も試した後なんだ。ああなったらこっちの言葉なんか何も届かない。……説得にこだわって何人かやられたくらいさ。これ以上恥を晒させたくない。一思いにやってくれると私も助かる」

「そうします」


 方針が決まった。

 全員で見晴らしのいい場所まで移動する。

 タリアの姿に獣人たちは驚いていたが、味方と分かるとすぐに声援を送っていた。

 影響力は健在といったところか。


 南側の魔防壁で何かが衝突する音が聞こえる。

 もくもくと黒い煙が壁の外からのぼって目立つ。

 それからここからだと小さくしか見えないが、三人の人影が空に浮いている。

 代わる代わる魔法で魔防壁を破壊しようと試みており、壁の後ろにいる兵士たちが魔石を魔防壁に使用して凌いでいるようだ。

 魔法が当たる度に次々と魔石が消えていく。


 見晴台に到着する。

 タリアはそこで翼を広げ、空へと飛んだ。

 顔は真剣で、一刻も早く同族をなんとかしたいという思いが伝わってくる。


 追いかけるように、アズが地面を蹴って跳んだ。

 フィンが風の精霊の力を借りて続く。

 ルーケとアレクシアは魔法で飛行し、エルザはアレクシアにしがみ付いていた。


 ……ミーリアとノラスと共にここで見守る。


 タリアが相手の一人へと突撃し、強引に引き離した。

 これで一対一。

 残りはアズたちが引き受ける。事前に決めた通りだ。

 三人のうち、二人は見覚えがある。

 一人は赤い髪の少女で、もう一人は年配者らしき男だ。

 タリアが引き離した相手は初めて見る。


 魔防壁に対する攻撃が止み、相手はアズたちにターゲットを変更した。

 決して楽な相手ではないが、これから向かう場所を考えればこのくらいはなんとかしなければならない。


 アズが魔剣アストラを抜く。

 天剣アズライールは強力すぎて場所を選ぶといっていた。

 神の力を振るうに等しいと。

 シージの近くでは使えないと判断したのだろう。


 赤い髪の少女がアズへと襲い掛かる。

 何度も戦って力の差は理解しているはずだ。

 やはりまともな思考力が残されていないのか。


 もう一人の方をフィン、アレクシア、エルザ、ルーケで対処する。

 竜に匹敵するという相手だが、アレクシアたちだって成長し続けているのだ。

 勝てない相手ではない。


 アズと赤い髪の少女は剣で斬り合っている。

 一方の年配者の方は少し様子を見た後、距離をとったまま魔法を放ってきた。

 魔力によって生まれた雷が迸ってくる。




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