「Sky」をプレイする室生家の人々《訴えかける親》
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
御影 様
陸 様 お役目様の内孫三人衆の内二人
霊的能力を持つ
結界師である俺は仕事を素早く仕上げ、切り上げる。
時計の針は午後4時を指している。
豆を挽き、サイフォン式で淹れたブルーマウンテンをすすりながら、俺はスマホを取り出した。
よし、デイリークエストが切り替わった。
すると、廊下をつかつかと歩く足音が近づき、襖の前でピタリと止まったかと思うと――
ぱあああぁぁぁぁああんっ!
勢いよく襖が開け放たれた。
そこに立っていたのは、ハザマだった。彼は無表情のまま、静かに俺に問うた。
「御影、今日のクエストやったか? 捨て地のアレだ」
・プレイヤーにお辞儀をする
・捨てられた地に彷徨う光を捕まえる
・墓所の焚き火を訪れる
・訴えかける親を解放する
「!!!」
(やべぇ、よりにもよって『訴えかける親』かよ……。コイツはチーム組んでやらないと無理だな)
訴えかける親……通称「ギターパパ」。
暗黒龍という、目ざとくド突きに来る巨大な龍が四匹も巡回している。そのエリアをかいくぐっての精霊解放だ。それだけではなく、蟹までたくさん寄ってきて体当たりをしてくる。
ちなみに、『Sky』三大難解放の一つである。これを解放する度に、これまで何枚の光の羽根を失ったことか……。
「おい、三人ぐらいでやらないと無理だぞ」
俺が言うと、ハザマはスマホを取り出して初音を呼び出した。
「すぐサインインしろ、今日は手強いぞ」
初音は泣きそうな声を上げる。
「暗黒龍が四匹もいるところで解放だなんて、怖くて出来ない〜!」
俺は、いきなり呼び出された初音が気の毒になり助け舟を出した。
「初音、俺が解放役になるから、エビにド突かれた時、お前は散った羽根を拾ってくれる係な」
するとハザマがすかさず割り込んでくる。
「じゃあ、私が蟹を気絶させる係でいいか?」
「なんでハザマは楽な係を進んでするんだよ? エビの誘導とか身代わりをすれば、漢を上げられるのに」
「身代わりは、女性のためにしか出来ない」
――そうか、そうか。つまりハザマはそういうやつ
なんだな――
呆れつつも俺が精霊を解放し進めていると、いわゆる『鯖別れ』(サーバー別れ)という現象に遭遇してしまい、目の前から初音とハザマがふっと消えてしまった。
味方が誰もいねぇ……。なんてこった。
世の中の理不尽を凝縮したようなゲームだ……。
一人取り残されて絶望していると、ゲーム歴が長そうな野良のプレイヤーが、蟹を気絶させつつ暗黒龍をいなし、俺を最終目的地まで安全に先導してくれた。
助かった……。
俺はキャンドルを四本貰い、無事にデイリーを終えた。
あとで聞いた話によれば、初音は途中でギブアップし、ハザマのヤローは光の羽根を八枚も失ったそうだ。
ざまあーみろ。




