「Sky」をプレイする室生家の人々《ぽんぽんする若者》
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
御影 様
陸 様 お役目様の内孫三人衆の内二人
霊的能力を持つ
結界師の朝は早い。
時計の針は六時を指している。
豆を挽き、サイフォン式で淹れたブルーマウンテンをすすりながら、俺はスマホを取り出した。
すると――
廊下をつかつかと歩く足音が近づき、襖の前でピタリと止まったかと思うと。
ぱあああぁぁぁぁああんっ!
勢いよく襖が開け放たれた。
そこに立っていたのは、ハザマだった。彼は無表情のまま、静かに俺へ問うた。
「今日のクエストやったか? 雨林のアレだ」
・開拓地を訪れ、しばしの間若木を愛でる
・新しい知り合いをつくる
・闇の蟹を捕まえる
・ぽんぽんする若者を解放する
俺は今日のクエストを見て絶望感を味わった。
「ぽんぽんする若者」……これを解放か……。
これは一人じゃできねぇ……。
もっと最悪なことに、今サインインしているフレンドはハザマしかいねーじゃん。
コイツを頼りにしなければいけないのかと、激しい屈辱感を味わった。
俺が絶望しているのを見て、ハザマは上から目線で言い放つ。
「手伝ってやっても良いぞ」
「は?『御影様、お手伝いして下さいませんか?』の間違いではないのかな?」
この雨林のクエストで厄介なのは、洞窟に入る時も二人組で力を合わせなくてはいけない点だ。
さらに、「ぽんぽんする若者」という精霊を解放するには、一人が扉を開ける係になり、扉を開けている間にもう一人が精霊解放を進めなければならない。
『Sky』というゲームが、別名『ぼっち殺しのゲーム』と呼ばれる所以だ。ぼっちにとって、このゲームの残酷さは人智を越える。
俺はすっかり気分が萎えてしまい、スマホから目を逸らした。
「いや、いいよ。今日のクエストは諦める……」
すると、ハザマはボソリと呟いた。
「そっか。今日のクエスト手伝ってくれた奴に新シーズンパスあげようかと思ってたんだが……」
「!!」
俺は即座にスマホを握り直した。
「しょーがねーなー、ハザマ! 手伝ってやんよ!」
こうして、また俺たちは『Sky』から抜けられない日々が続いていった。




