「Sky」をプレイする室生家の人々《お金で買えないハート》
室生 初音: 地方の芸大生 三年生の後期のみ、
室生本家で世話係のアルバイトをしている。
ハザマ様 =室生 透青
室生家の巫覡をしている。
中の人は月島秀青で芸大の助手をしていた
御影 様
陸 様 お役目様の内孫三人衆の内二人
霊的能力を持つ
結界師の朝は早い。
時計の針は六時を指している。
いつもどおり、豆から挽き、サイフォン式で丁寧に淹れたコーヒーをすすっていると、婚約者の初音が半べそをかきながらコーヒーを飲みにきた。
「うぅ……御影様……キャンドルが、キャンドルが足りない。再訪が来るのに!」
「お前、キャンドルマラソン頑張っていたじゃないか。どうしたんだ?」
「イケメン・ツンニキに貢いでしまって……。毎日ハートを送っていたら、なくなってしまったんです」
「なに? 毎日送っていたのか? 俺以外の男に!?」
ゲーム内のこととはいえ、嫉妬で怒りが湧いてしまった。
「で? そのツンニキから、お返しのハートは返ってきたのか?」
「いいえ……」
「呆れた……。少しハートを送ってみて、返って来なけりゃフレンド解除しろよ。バカだなー」
「だってその人、口がうまくて……。『君といると凄く癒される』とか、『君みたいな可愛い子、一度会ったら忘れられない』とか。普段あまり言ってもらえないような言葉を掛けてくれるもんだから」
ここまで聞いて、俺は普段、初音に対して優しい言葉をかけてやれていないことを少し悔いた。
「そんな甘い言葉を掛けてくるやつ、ちょっと見てみたい。どれ、スマホ貸してみろ」
初音のフレンドリストを眺めてみる。
「で、貢いだ男って誰だ?」
「この『Crystal Blue』さんという方です」
あ、こいつ知ってる奴だ。しかもかなり身近にいる……。俺はコイツの正体は初音には教えず、直接文句を言いに行った。
「おい、ハザマ。Skyっていうゲームで初音にハートを貢がせてるだろ。ちゃんと返してやれよ。そういう不誠実なことやってると、また刺されて死ぬぜ?」
ハザマはフッと笑って答えた。
「Sky内では何度も死んで転生している」
「今から白い装備に着替えて、原罪へ禊に行くんだ……」
――そうか、そうか。つまり君はそんなやつなんだな―― 皮肉たっぷりにハザマに言ってやった。
「いいよな、Skyは。次の体の確保を心配しなくて良いからな」
初音には良い勉強になっただろう。とりあえずは、俺からキャンドルを送って慰めることにしよう。




