( ΦωΦ )#4 やっぱ猫
美琴が攫われそうになった日から、ルナは前よりさらに過保護になった。
元々家から出ることは禁止していないし、問題はないのだが、学校の行き帰りは迎えに来るし、家ではずっとくっついてくる。
「ルナ、暑い」
「や」
「最近ほんと離れないね」
「……みこといなくなったら嫌だから」
美琴は言い返したいが、先日本当に攫われそうになっていたので言い返せず、赤くなることしか出来ない。
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そんなある日の夜。
美琴が風呂から出ると、リビングの真ん中で光が弾けた。
「え」
次の瞬間。
ぽすっ、と小さな影が落ちる。
床にいたのは、見慣れたシャム猫だった。
青い目を丸くして、美琴を見上げる。
「……にゃ」
沈黙。
数秒後。
「ルナぁぁぁ!?」
美琴は慌てて抱き上げた。
軽い。
小さい。
いつものルナだ。
つい撫でてしまう。
「可愛い…」
「うにゃあ…」
猫の姿になったルナは、困ったように「にゃあ」と鳴いた。
どうやら当の本人にも理由は分からないらしい。
久々に猫になったルナは、ある意味もっと危険だった。
「にゃー」
「だから近いって……」
美琴の胸に顔を埋め、喉を鳴らす。
猫だから可愛い。
可愛いんだけど。
問題は中身だった。
急に人間のようななことをする。
頬へちゅっと口付けてきたり。
唇をぺろっと舐めたり。
「ルナ!?」
悪びれもなく見上げてくる青い目。
完全に分かってやってる。
しかも猫なので怒りづらい。
「ほんとずるい……」
「にゃ」
「絶対確信犯でしょ!?」
夜も当然のように布団へ入ってくる。
昔は気にしてなかったのに、今は違った。
小さな体が胸元へ丸くなるたび、人間の姿を思い出してしまう。
低い声。
抱きしめてくる腕。
「……だめだこれ」
意識しない方が無理だった。
しかもルナは、猫のくせに美琴が照れると嬉しそうにする。
ある日なんて、布団の中でうとうとしていた美琴の唇へ、柔らかい感触が触れた。
「……っ!?」
目を開ける。
すぐ目の前に猫のルナ。
でも明らかにキスだった。
「にゃ」
どこ吹く風でそっぽを向くルナ。
「待って今の絶対わざとでしょ!!」
ルナは嬉しそうに喉をゴロゴロと鳴らしている。
美琴は顔を覆った。
猫相手にこんなドキドキしてる自分は本当に大丈夫なのだろうかと思いつつ、大学やバイトへ向かう日々を送っていた。
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