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飼い猫が超絶イケメンで困っています!  作者: 酔い氏


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15/18

( ΦωΦ )♡#13 やきもちPart2

いつもより長めです。

あの日以降、湊音は本当によく来るようになった。


最初は週一だった。

それが二日に一回になり、気づけば「ただいまー」と言いながら部屋へ入ってくるようになっていた。


原因は美琴だった。

「なんで合鍵渡したの」

ルナは顔を(しか)めて詰め寄った。

寝起きということも相まって不機嫌だ。

美琴はキッチンから顔を出して答える。

「幼なじみだし」

「だめ」

「昔から知ってるし」

「もっとだめ」

ルナは最近、湊音関連になると余裕がなくなる。

美琴が湊音の危険性を全然理解していなかったからだが、当の本人は全く気付く気配がない。


「湊音はそういうのじゃないから」

その一言で、ルナの目が細められる。

「告白してたじゃん」

「……あれはノリでしょ?」

「あいつ絶対本気」

ルナは断言した。

が、美琴は手を振って「違う違う。幼なじみだからだよ」と笑っていた。

そこからまたルナの機嫌が悪くなったのは言うまでもない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


あの日

湊音は美琴へ普通に告白していた。

『いや今も好きなんだけど』

さらっと。

笑いながら。

あれが告白でなければ何が告白というのだろうか。

美琴をじっと見つめて、顔を強ばらせて、手に汗を握って。

湊音のその様子に、ルナは本能的に本気だと感じていた。

ルナが人間姿になったことで流れてしまったが、告白自体はしているのだ。

だからこそ今もルナは湊音を警戒している。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ある日の夕方。

美琴が大学から帰ると、既に部屋の電気がついていた。

ドアを開けると、

「あ、帰った?」

と、呑気な声とともにソファで湊音がルナと戦っているのが見えた。


「みこと!おかえり!」

美琴が帰った瞬間、ルナは人間姿になり美琴に抱きついたため一時休戦しているところだ。

「なんでいるの」

「合鍵あるし」

「便利に使うな」

湊音はケラケラ笑った。

その横では、猫に戻ったルナが美琴の隣でじっと湊音を睨んでいる。

「ルナ、顔怖いよ?」

「グルルル…」

「威嚇しないの」

湊音はそんなルナを見ながらニヤつく。

「でもこいつ、ほんと分かりやすいな」

「何が?」

「俺いる時だけ威嚇すんじゃん」

「気のせいじゃない?」

「いや絶対違う」

その瞬間ルナが美琴の膝へ飛び乗る。

「うわ」

ぐいぐいと顔を押しつけてくる。

縄張りをアピールしているかのようで、湊音が吹き出した。

「牽制されてる?俺」

「ルナやめなさい」

「にゃ」

もちろんやめないルナ。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


一番の問題は、美琴が無防備すぎることだった。

湊音が男だという認識が薄い。

幼なじみだから、昔から一緒だったから。

そこまではわかる。

が、距離感が近い。近すぎるのだ。

「美琴、髪伸びた?」

「んー?」

ソファで隣に座ってる時。

湊音が自然に髪を触る。

美琴もされるがままで、それが気に入らないルナは

「シャーッ!!」

「うお!?」

ソファの背から飛び降り、毛を逆立た。

「ルナ!?」

「にゃあ!」

ブチ切れ寸前…というか、ブチ切れていた。

湊音は笑いを堪えている。


「お前さぁ、彼氏面すごいな」

「にゃ」

「え…彼氏…?」

「否定しないのかよ」

美琴は赤くなって固まってしまった。

ルナはじっと湊音を睨む。

猫としての本能も混ざっているのだろう。

自分の番へ近づく雄を警戒している。

しかも湊音は、ルナから見て明らかに危険だった。


距離感がおかしい。

距離が近いし、すぐ触れる。そして何より、美琴が拒絶しない。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


その日の夜。

美琴がコンビニへ行こうとしていた時。


「俺も行く」

湊音が立ち上がる。

「え、いいよ別に」

「暇だし」

美琴が断っても譲らない。

結局一緒に行くことになった。

ルナがじっと湊音見る。というか睨む。

嫌な予感しかしない。


「んじゃ行ってくる」

「はぁぁ…昔から湊音には流されてばっかりな気がする。ルナ、留守番お願いね」

「……にゃ」

明らかに不満そうな返事を聞いて、苦笑しつつも2人は買い物に行った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


スーパーではよく会うレジのおばちゃんに

「美琴ちゃんじゃないの!な〜に〜?彼氏?」

と質問攻めに合ったが、

「幼なじみです!」

の一点張りで突破した。

横では湊音が気まずそうに苦笑していたが、美琴は必死で見ていなかったのが幸いだろう。


街灯の明かりだけが煌めく夜道で、二人歩いていた。

二人は昔話で盛り上がっていた。

「懐かしい!そんなことあったね〜」

「お前は昔から抜けてたんだよ」

「失礼ね」

湊音は横目で美琴を見る。

街灯の光が、少しだけ真面目な横顔を照らしていた。


「……ほんと変わんねぇな」

「ん?」

「警戒心なさすぎ」

「湊音だからでしょ」

湊音が少し黙る。

それから、小さく笑った。

「それ、男に言うなよ」

「何それ」

「今更か」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


事件というものは突然起きる。


2人は重い荷物を分け合い、昔話をして帰っていた。

スーパーから帰り、家の扉の前にて。

「美琴」

「んー?」

いつもと違う呼び方に違和感を持ち、振り向いた美琴は湊音にぐいっと腕を引かれる。

「っ!?」

壁へ押し付けられる形になり、湊音の顔が近い。

「……ちょ、何」

美琴は冗談めかして笑うが、湊音は笑ってなかった。


「告白、流されたままなんだけど」

「え……いや、あれ本気だったの!?」

「おっそ」


湊音が美琴に1歩近づいた瞬間、後ろからものすごい勢いで何かが飛んできた。

「うわっ!?」

湊音の顔面にルナの綺麗な飛び蹴りが入った。

ルナが毛を逆立て、湊音の肩へしがみつく。

「痛っ、おま、爪!!」

「シャーッ!!」

「なんでここにいんだよ!!」

答えは簡単だった。

美琴の帰りを今か今かと窓辺で待っていたら、ドアの前から美琴の声が聞こえたからだ。


それを察してか湊音が呆れたように笑う。

「ストーカー猫じゃん」

「にゃああ!!」

「図星かよ…痛い痛い!一旦どいて?」

湊音の肩へ乗っていたルナが、人間へ変わる。


「離れろ」


今まで聞いたことがないほど低い声がルナから出た。

青い目が冷たい。

湊音もさすがに驚く。

「うわ、外で変わるの初めて見た」

「どうでもいい」

ルナは美琴を自分の方へ引き寄せる。

力が強い。

「みこと取ろうとしてた」

「いや未遂」

「同じ」

「お前独占欲やいってば」

ルナは否定しなかった。

むしろ当然みたいな顔。

美琴は真っ赤のまま混乱している。


湊音は、そんな美琴を見て苦笑した。

「みこちゃんは警戒心なさすぎ」

美琴の額をコツンと叩いて言うと美琴は額を抑えて、更に赤くなった。

ルナは今までのが可愛く思えるほど湊音を睨みつけた。

が、湊音には効いていない。

「怖いなぁ」だけで済まされている。


湊音は肩を竦め、ため息を着いた。

「わかったよ。今日は引く」

「今日“は”?」

「……察しがいい猫だなぁ」

まだ眼光が鋭いルナから逃げるように湊音は帰っていった。

「んじゃまたね〜」

「もう来るな」

「おぉ怖い怖い」


湊音は去り際ぽつりと呟いた。

「……俺、結構諦め悪いんだ。ごめんね」


その言葉は、湊音が去ってから縄張りにマーキングするかのように、ルナに抱きつかれる美琴には届かず、虚しく落ちていった……

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