#2:絶滅したような、してないような。
私は恐竜の中で一番ティラノが好きです。安直ですけど、たくさん恐竜を知った今でも好きなんだからこれは間違いなく恋ですね(?)
私たちには前世がある。
それは、恐竜。
かつて最も長い時間地球の頂点に君臨し続けた生物群。
6600万年前、メキシコ・ユカタン半島に衝突した直径約10kmの小天体を最後のピースとして、ごく一部を残して地球上から消え去った古生物の一種。
これが、私たちを一番簡単に説明できる文章だと思う。
だがこれには続きがある。
私たちは絶滅した後―――
▷▷▷
「寝るつもりはなかったんだよぉ...、ほんとだから許してぇ......」
「ほら、二兎ちゃんだって反省してるみたいだしさ。許してあげて」
「しょうがないな、今日は慧羅に免じて許してあげるよ」
―――ゆるゆる現世で日常を楽しんでいた。
なぜか絶滅した後6600万年後の地球にJKとして生まれ変わった私たちは、最初こそ困惑したものの今ではすっかり馴染んでいる。
恐竜だった時の特技を引き継いだり、特徴がそのまま現れた子もいる。
例えば今シュンとしている二兎ちゃんの前世はかのダチョウ恐竜筆頭たる"オルニトミムス"。
全長3mほどの体とダチョウのような見た目が有名な恐竜だ。
かつて時速60kmもの速度で大地を駆けたその足は今も健在で、さっきも言ったとおり50mを3秒で駆け抜ける。おかしい。
私の前世は自分で言うのもなんだけどビッグネーム。
白亜紀末期を生きた最後の恐竜の1つであり角竜類という一大グループの顔、"トリケラトプス"。
全長9m、体重12tという角竜類で最大級の図体と1mを超える長さの角を持つ。
草食恐竜といえば私、みたいな印象を持ってる人もいるんじゃないだろうか。
そして、二兎ちゃんを叱っていた麗日ちゃん。
その前世は超有名。
100人に"恐竜といえば"と聞けば、100人が揃って言う程有名で、かつて地球で最強を誇った肉食動物の極み。
そう、王たる暴君竜"ティラノサウルス"だ。
全長12m、体高6m、体重8tの巨体を誇る、史上最大級の陸生捕食者の1体。そしてそのスペックは、神がお遊びで作ったんじゃないかと思えるほど圧倒的。
そして彼女は他の恐竜JKと比べても高い純度でかつてを引き継いでおり、正直この世界に麗日とタイマンで勝てる生物なんていないんじゃないかと思うほど。
というかいない。
「ん、どしたの慧羅」
「いや、麗日はほんと変わんないなぁって」
「そう?例えばどんなところが?」
「いるだけで周囲の生物を威圧する風格」
「一度動き出したら止まらない破壊兵器の一面」
「褒めてるの、それ」
『褒めてる』
「嘘つけ。シめるぞゴラ」
『ごめんなさい』
「よろしい」
さて、今の私たちは人間になった影響か争うつもりが全然ない。
普通目の前に草食恐竜がいたら、お腹が空いていれば麗日にとってそれは格好の餌だ。
それを理解してる私たちはもちろん、麗日に近づくことはないのが6600万年前までだった。
けれど今は、身体が人間だから人間の食物で私たちも生きることができる。
つまり喰うか喰われるかの殺し合いをする必要がなくなったというわけだ。
とは言ったものの、麗日を前にしていると―――
「うん、やっぱり本能的な部分でまだ怖いわ」
二兎ちゃんがそう言った。
その手は無意識に細かく震えている。
私も肯定のように首を振った。
「悲しいな、もう慧羅を襲うつもりは...少なくとも食事のために襲うつもりはないのに」
「おい待て食事以外の襲うってなに?」
「そりゃあ...ねぇ?」
「まずいぞ慧羅、その内麗日に食われるんじゃない?性的な意味で」
「麗日...そんな...///まだ早いよ...////♡」
「安心して、気持ちよくするから」
「麗日......!」
「何見せられてんのこれ」
困惑する二兎ちゃんを横目に、所構わずいちゃいちゃする私たち。
「そういえば今日は盗辺さん休みなの?いつも朝早いじゃん」
「古賀さんが体調悪いから一緒に休むって」
「獣脚と角竜はくっつく運命にあるのか?」
二兎ちゃんが何かの真理に辿り着いてる。
実際このクラスに限らず、角竜と獣脚でつるんでることは多い。
血那さんと魔乃さん、或馬姉妹に恐嶺堂さんと瀬戸さん......って、獣脚側全員ティラノ科じゃん。
「角竜とティラノ仲良すぎじゃない?昔殺し合ってた割にはさ」
「私と慧羅だって既に親友という言葉では語りきれないところまで来ているしな」
「アッソーデスカー」
呆れたように流す二兎ちゃん。
正直日常すぎてもう二兎ちゃんの対応が上手くなってきている。
そういえば、もうすぐ文化ーーー
「皆様ッ、釣り堀を作りますわよっ!!!」
うるせぇのが入ってきた。
たくさん出てきました。苗字の漢字とか読み方で一応元の恐竜の面影を持たせてます。誰が誰でしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。




