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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第2章 学園編
47/50

7話

「まさかとは思ったけどその刀……魔法無効化付けたのか?」


そして少し引き気味にそう聞いてくる英雄に対し少し笑って見せる


実際はそんな都合の良いもの創造できればいいんだが現実は甘くない、そうそう数か月で完成させられるものじゃない。この刀、陽炎は魔法無効化を目指した上での失敗作……魔法を完全に打ち消すのではなく、吸収し、放出するというだけの代物だ。吸収しているだけだから一度で吸収できる量に限りがある


「まだまだ試作段階だがな」


別に勘違いを正す意味もないので敢えて放置しておく。どうせその領域に到達するのが目標だしな。英雄は引きつった顔を一変、どこか嬉しそうな表情を見せる


「さすが、力也! 「ライトスピア」!!」


英雄が数本の光の槍を無詠唱で撃ち出しながらさらに詠唱を始める。いくら魔力無効化だろうが刀にあてなければ意味がないので手数で攻め落とすってのは確かに好手、だが今回の俺の刀は吸収、どちらかといえばさっきみたいな物量で押される方がキツイ


弱い魔法なら刀の上限は越えない、デカいのを撃つための詠唱時間の確保が目的ならヤバいが、どちらかと言うとあいつは俺の影響でこういう場面で嵌め手でのぞむ傾向にある


光の槍数本は刀で撃ち落とし、続いて飛んでくる光の球を避ける



『主、そろそろ右腕・・容量キャパオーバーじゃ、一発かましたれ!!』



了解、変換は任せた!


陽炎は魔力吸収、吸収した魔力はどうするのか……最初はかなり試行錯誤したが今はこれで落ち着いた、右腕の義手を魔力タンクにするという方法に。この方法を行うには義手を造るのにも使うのにもかなりの負担になる。自分の思い道理に動く義手なんてもの造るのだけでもかなりの苦労があったのにさらに追加の能力を付けるだなんて思いついた自分をぶん殴りたくなった


「だがまぁ、こんなバカみたいな事できるなら無効化よりも使い勝手がいいかもなあ!!」


陽炎を左手に持ち替え、右腕で地面をぶん殴る。右腕の義手には先ほどまでで溜め込まれた魔力があり、それをクロが破壊・・に変換する事で可能になった力技


激しい爆発音が轟き殴った所を中心に闘技場の地面がひび割れ、隆起し、足場を完全に崩す


「なっ、どこからこんな馬鹿力!?」


地面の隆起に巻き込まれ体勢を崩した上に地面が大きくデコボコしているため直線的に相手が視認できない、俺にとっても移動が面倒だけど、後衛型の英雄には俺を狙うのが困難になるはずだ



『主、上空に魔力反応じゃ、効果薄じゃな』



まじか、やるなあ英雄


止まらず走り抜けて光の槍を回避、円を描くように大きく回って英雄に接近するのを試みるが魔力で完全に位置がばれてるのは分かっていたが、思ったより正確に隆起した地面の影響を受けない上空から攻撃が飛んでくるため思ったように進めない


クロ、創造で造ったものは魔力の探知に掛かりにくいんだよな?



『うむ、完全に隠ぺいは出来ないが大抵の相手には見破られることはない』



なら、身体強化解除だな



『……正気かの?まあ意味は分かるんじゃが』



危険は百も承知、魔力探知任せたぞ


身体強化を解除、スピードはさっきまでと比べると急激に下がってるからさっきと同じように魔法が来たら捌ききれずにゲームオーバー。だが魔力や気配をおさえて行動するのは得意だから英雄からは俺の位置が分からなくなる


思った通りに魔法が飛んで来なくなるのでその隙になるべく距離を詰めるべく動く。恐らく次に英雄がとるのは



『………主、魔力が収束しとる、デカいのが来るぞ』



やっぱり、広域を魔法でふっ飛ばしての地形の平面化、ついでに魔法が打ち消されたらそこに俺がいる証拠になる


何とか魔法が撃たれる場所から逃げるためにさっきまでいた場所から元いた方に元の世界と比べて上がっている身体能力を駆使して逆走する。身体強化が無くとも身体強化無しのこの世界の人間では出せないスピードで移動できる



『来たのじゃ、目の前の岩に隠れるのじゃ、それで問題ない!!』



おっけ!


クロの指示に従い岩陰に身体を滑り込ませると後方から熱風が吹くが岩に隠れたおかげで被害は無い


ここまで来たら問題ないと直線的に英雄に接近する。英雄はどうも避けられたことで近くまで俺が接近していると思ったのか岩陰に隠れて威力の低い魔法を四方に撃ち打ち消されるかどうかを確認し始める



『ふむ、思ったよりも苦戦しておるのう』



ああ、よそ以上にやる…先輩との決闘より集中力が違うしな


英雄の隠れた所から20メートル程離れた岩陰まで到着、ここからが勝負所だな



『ギリギリまで隠れていくのか、ここから身体強化で一気に飛び込むか、どうするのじゃ?』



前者だと英雄が定期的に撃ってくる魔法を避けきれない可能性が出てくるな、打ち消しちまうとそこから身体強化をかけて飛び込むしかない……ここから勝負を掛けよう



『あと20メートル程度じゃし、距離的には数歩で行けるじゃろう……いかに早くあの岩陰を抜けるかじゃな』



分かってる


陽炎を右手に持ち直し一つ息をつく


「ふぅぅぅ…………身体強化」


英雄の魔法詠唱が終わり放たれた瞬間に身体強化をかけ隠れていた岩陰を飛び出す。角度的に英雄から視認は出来ないが魔力で感知されているはずなので一気に距離を詰める



『主!右前の岩に魔方陣、罠じゃ!』



クロの言葉で何とか反応し陽炎を突き刺すことで魔方陣を破壊、英雄の隠れる岩陰に滑り込む


「終わりだ、英雄」


英雄は突っ込んできた俺を待ち構えるかのように炎の剣を振りかぶっていたが


「黒戸流一刀、「小波さざなみ」」


「がはっ」


振り下ろされる剣を振り上げるように陽炎を下から当てて吸収、その勢いを止めずに体を回転させ懐に入り込み、横なぎに振り抜く


「っ!?………大丈夫か」


斬りつけた瞬間、完全に人を斬った時と同じ感触がして一瞬焦ったが、倒れ込む英雄の上半身と下半身はしっかり繋がっていたのでホッとする。ダメージは魔力に変換されると聞いていたから斬りつけたのにあそこまでリアルな感触だと本気で殺してしまったんじゃないかと不安になる


『け、決着です!勝者、黒戸力也!!』


アナウンスで静まり返っていた会場が一斉に沸く。やはりと言うべきか、既に英雄のファンになっていたであろう一部の女子はあまりいい顔はしていなかったが




side out



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



side アナスタシア



『け、決着です!勝者、黒戸力也!!』


決着ね、終始どちらが勝ってもおかしくは無いように見えたけど、完全に手玉に取っていたのは黒戸力也…


「どうでしたか、理事長」


ヤコブがそう聞いてくる。どうせあなたも同じ見解でしょうに、と言いたいけど気分は悪くないから乗ってあげようかしらね


「そうね、思った通りの実力、ですが聖名英雄の方は今の戦闘で魔法使いとしての才が相当なものだという事が分かります。最後に見せた炎剣も躊躇なくスムーズでしたので近接戦闘も素人という訳ではなさそうですしね。大方相手が彼、黒戸力也だったので勝てない土俵での勝負を避けたのでしょう。デイジリーさんにアリソンさんとの決闘でも見せて無い部分が今後は鍵になるでしょうね、あなたの腕の見せ所ですよ」


「重々承知していますよ、聖名は私が幼少のころ見た先代の勇者以上のものを感じますし、成長が楽しみです。ですが、本当に驚いたのはそっちですか?」


この男も中々に人の機微を読み取るのが上手い、だからこそケアが適切だから生徒は恐れはしても離れてはいかないのよね


「いいえ、あなたの想像通り……黒戸力也、私の想定を軽く超えて来ましたね。まさか魔法無効化の創造に成功しているとは……世界でもそう数の多くない条件付加の創造、その中でも最上級ですか」


「ええ、もしあれが本当に魔法無効化なら、ですが」


含みを持たせる言い方、何かを見落としましたかね?


無言で先を促す。私の目はこの男より下、口に出して聞いてしまってはそれを認めているような気がして、無意味な事は分かってますがせずにはいられなかった


「もし無効化なら一度一振りで消し去り切れていないのが気になります。容量に限界があるとしたらそれは今世間でうたわれているいわゆる「魔法無効化マジックキャンセル」ではない、あれには上限など存在せず魔法によって起こった事象を完全に破壊するもののはずです。ですが彼は二度・・刀を振る必要があった、恐らく別のものかと」


失念していたわけじゃない、と信じたい。でも言われるまで考えないようにしていたのは自覚している。確かに、二度振る必要は無いはずなのよね


「まあ、理事長が一度彼の脳内を覗いてしまえばいい事ですのでお任せしますよ」


「ええ、考えておきます」


魔法無効化マジックキャンセル、でもそれに準ずる能力なら数はかなり限られる


あるとすれば、自身の魔力で打ち消せる分だけ無かったことにする(・・・・・・・・・)事象干渉系、あるいは魔法の吸収、でも後者なら連続での二振りで消し去ることは出来ない、それを行うには吸収した魔力を抜く作業が必要だから。そうなると事象干渉系が濃厚?


いやね、もしそうならカエイラにとって重宝される戦力となる。偶像、勇者にしておくのはもったいない


「まあ今言える事は、あの能力なら魔法無効化だろうがなかろうが十分学生のレベルを超えた能力を持っているという事ですかね」


「そうね、どこまで育つのか、楽しみよ」




side out

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