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異世界の勇者は何を見る  作者: 小淵執悲
第2章 学園編
46/50

6話

強かった、流石は学園の第一位ファースト、ここで使うのは予定外だけど英雄に対しては良い牽制になったかな


『勝者、黒戸力也!』


残る決闘は英雄とのみ、負けるわけには行かなし気を引き締めないとな


闘技場から出て治療室で魔力を回復してもらいに向かう。魔力量は勇者のそれよろしく膨大だからさっきは何とか発動までの時間を稼げた、でも実践じゃ普通あんな状態で集中して魔法なんて使えない……戦術的には負けてるよな



『主なら痛みに耐えながら難なく魔法を使いそうじゃが?確かにさっきの決闘は完全にしてやられておったが勝利は揺るがんかったじゃろうに………それより義手(右腕)の調子はどうじゃ?』



痛みに耐性があるっつっても寒いのはキツイかな。右腕は問題ないよ、調子良好だ


右手をグー、パーしながら問題ないことを確認し、無茶を言うクロに苦笑い気味に答える。見た目は別に金属とかじゃない…確かに少しあこがれたけど、生きにくくなっちゃ元も子もないからな。パッと見は普通の人間の腕、ただ、生まれた時から付いていた腕は先日の暴動の時に失った



『ふむ、主はやはり創造魔法に対して適性が高いようじゃな……あの魔法もそうじゃが、普通ここまで高度なものは熟練の技が要るはず、こうも若いうちに成功させられるとなんだかそう大した事無いように感じてしまうわ』



意外と楽なもんだったけどね


俺の右腕は義手、でもただの義手じゃなくて、自分自身で造り上げている義手だ。暴動から今日まで、この腕ともう一つの魔法の開発だけに時間を費やしちゃって他はほとんど変わってないけど一気に戦いに幅が出たと思う


「あら、来たわね。そこにある薬を飲んで。苦いけどあなた程の魔力になるとそのレベルじゃないと足りないのよ、我慢してね」


治療室に入ると20代中頃と思しき女性がそう言ってくる。良薬は口に苦し、みたいなことわざってこっちの世界にもあるのかな…


「はい。うげ、マジで苦い……」


口に入れた瞬間広がるそこら辺の雑草を大量に口に放り込んだような感覚…


吐きそうになりながらも何とか飲み込むと体の中から魔力が湧き上がってくる感覚を感じ、効果を実感する。確かに良い薬なようだが、正直何杯も飲みたくない…さっきはのされてて意識が戻った時には魔力は全快だったから飲んで無かったが、次は勝ったら飲まずに自然回復にしよう


「ふふ、効果は確かでしょう?次も頑張ってね」


「ありがとうございます」


魔力が回復したのを確認して治療室を出る。次の英雄との決闘に向け集中力を維持しつつ、さっきの魔法を頭の中でイメージする。創造魔法の最重要事項は自分のイメージ、暇があれば頭に浮かべて完全なものにするよう意識してる



『イメージが完全ならば我には映像として見えるからの、その域に達すれば時間はかなり短縮されるじゃろう。今の10秒は戦闘の中で創造するにはキツイ、次は開始と同時に造るんじゃな』



さっきはホント失敗だったな、なめてた



『なめるのは相応に強くなってからにする事じゃな、命取りじゃ』



分かってるよ


決闘は当たり前だけど事前に武器を造っての持ち込みは禁止、だが義手はなんとか見逃してもらった。創造属性は身体強化のレベルといかに早く造るか、手数で攻めるも一つ強いのを造るのも自由。遠距離型の相手と対する時は接近すれば勝ち、不可能なレベルでの弾幕が来ると負け、処理能力が問われる


英雄は接近戦で俺に勝てるなんて思わないだろうし、全力で撃ってくるかな


そうなると嵌め手の苦手な英雄相手なら真っ向勝負か


「うし、勝負だ英雄」



side out



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



side 英雄



闘技場内で待ち始めてそこまで待たないうちに力也が入ってくる。さっきの力也が先輩の魔法を完全に断ち斬った魔法…いや、創造属性じゃ魔法は撃てないから技なのか


どちらにしろあれの正体を掴んで対処法を見つけないと勝てないって事か、厄介な


「よう英雄」


俺が悩んでるのも知らないで、力也がいつも通り軽い感じで声をかけてくる。いや、力也の事だからもしかしたら見抜かれてるかもしれないけど、心読むなんて事は力也は出来ないか


「やあ、早かったね、大丈夫なの?」


「誰にもの言ってんだ」


「それもそうだね」


昔から力也は馬鹿みたいに強かった。そのせいでよく絡まれて返り討ちにして……人質に俺がなった事もあったけど、一瞬で相手が吹っ飛んだのは今でも覚えてる。でも、一番力也が強かったのは俺が人質の時なんかじゃなかったよね


「しっかし久しぶりだな、お前とガチでバトルなんて。昔お前が馬鹿の一つ覚えみたいに向かって来た時が懐かしいな」


そんなこともあったと思い出す。そして大事な幼馴染の存在も


「なんで今思い出したのか、分からないけど……いつもその喧嘩を止めてくれたのはあいつだったよな。いつも俺が力也にボッコボコにされたところで仲裁に入る感じだったけど」


力也はある時期から大人しくなった。本人は吹っ切れたつもりでも今でも頭の片隅にはいるはず、今俺の言葉に顔をしかめたのがその証拠


力也は俺を主人公と言う。でも主人公っていうのはなんでもかんでも守ってしまうような存在、俺が目指す場所ではあるけど、どちらかと言うと力也の方が近い位置にいる気がするんだよなあ


「俺はまだ勝てないかもしれないけど、でもあの暴動の時とは違う…それだけは証明して見せる」


二度同じ間違いをするのは馬鹿野郎だ、絶対に、しない


「お前がシリアスモードに入ってる時は碌な事がねえから嫌いだよ」


相変わらず軽い感じで言ってくる力也の言葉でふと気が付く。確かに変に力が入ってる


危ない危ない、ナタリアさんやオルネラさんに教わったことをしっかりやる、それだけのはずだったじゃん


力也に言われてやっとで気が付くようでは遅いが、今は始まる前に気が付けただけマシだと思っておく。切り替えるように目を瞑って心を落ち着かせる。平常心、平常心……


…うん、大丈夫


「はは、助かったよ力也、良い感じにリラックス出来た……覚悟しろよ?」


思わず口元がにやける。さっきまでは柄にもなくゴチャゴチャ考え過ぎてたな、こっからが戦争だ!!



side out



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



……力みは取れたみたいだな


やっぱ英雄はあいつの事になると変に考え込みすぎる。だけどなんで今?


考えても無駄か



『余裕じゃの、相手の気遣いとは』



別に、府抜けた英雄に勝っても意味ないからな



『まあ良いが、あやつ、笑っておるぞ?』



そう言うお前も口調が弾んでるぞ、楽しんでんだろ?



『まあのう!』



英雄は力みが抜けたと思ったらにやけやがった。さもこれから楽しいことが始まるかのように。切り替えの早さは相変わらず、ホント感嘆するよ


互いにある程度の距離を取り、所定の位置に着いたところでアナウンスが流れ始める。


『さて、では始めて貰いましょう、勇者VS勇者、異例の決闘です。始め!!』


アナウンスの掛け声と同時に詠唱を開始する英雄を確認して俺も創造に入る。イメージは刀、元の世界のアニメでとあるキャラがやっていた、炎を切る刀


「ふぅぅ、「魔刀創造グラデュース」」


右腕を前に出し唱える。普通の刀とは違い生成するまでに時間がかかる。まず初めに柄が生成され、そこからだんだんと刀身が伸びていく



『詠唱が終わったぞ、早うせい』



クロの言葉で英雄のに少し意識を割くと既に巨大な炎の龍を自身の周りに出したところだった



『上級魔法「サラマンドラ」じゃな、なかなかどうして面白い』



こっちも丁度完全に刀身が生成し終わり、完成する


「サラマンドラ、行けぇ!!」


「魔刀、陽炎かげろう……身体強化」


まあ、まだ完成はしてないが…


火の龍がうねり、大口を開けて接近する。後ろでは英雄が既にいくつかの火の槍を生成し、更に短い詠唱をしているのが見える



『さあて、行こうかの!!』



クロの言葉と同時に駆けだす。左手にクロの造った小太刀が現れ、それを逆手に持って走る


「ふっ!!」


一閃、陽炎を横なぎに振ると火の龍が一瞬真っ二つになったかのように分かれ、直ぐに消失する。間を置かず飛来するいくつもの槍を魔力を込めた小太刀を用いて受け流し、陽炎で撃ち落とす



『下じゃ!』



クロの言葉に反応し右手の陽炎を逆手に持ち変え地面に突き刺そうとした所で足元に赤い魔方陣が現れる。魔方陣が発動する前に突き刺し、払う事で魔方陣を破壊、先を読まれたかのような俺の反応に英雄が少し驚いた顔を見せる。その瞬間左手の小太刀を英雄に向けて投げる。普通なら届かない距離も身体強化により上がった身体能力によってありえない速度で飛ぶ


「我を守れ、「アイギス」!ついでに「フレイムクリフ」!!!」


今度は光属性の防御、同時に詠唱破棄での魔法が発動、火焔が発生して英雄の周囲を囲う



『上手いのう、魔力で自分の周りを囲ったのじゃ』



つまり、魔力探知が効かないって事か!


「っぶねえ」


構わず突き進もうと一歩踏み出した瞬間光線が飛んでくる。間一髪で体を反らし躱すが、炎のせいで出所が見えない上に光属性の速さのため完全に見切る保証がないと判断して直線での接近を諦め左右に振りながらの接近に変える


変わらず出所の見えない光線や火の槍を躱しつつ少しずつ距離を詰める



『主!炎の裏で大きい魔量反応、デカいのが来るのじゃ!!』



クロが叫んだ瞬間炎の壁が膨れ上がったかと思ったらそこから尋常じゃない量の炎が飛び出してくる


「おいおいおいおい、まともに喰らったら丸焼きじゃねえか!」


そう叫びながら陽炎を二振り(・・・)、完全に炎を打ち消す


火が消えると顔をひきつらせ、冷や汗を垂らす英雄が視界に入る


「まさかとは思ったけどその刀……魔法無効化付けたのか?」


そして少し引き気味にそう聞いてくる






ああ、戦闘シーン難しいぃぃ

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