ハウス オブ トーチャー
ミラー・ツイン
【咎】とは心の深淵に存在する【想い】が形を成したモノである。本人が意識している【想い】もあれば意識すらしていなかった【想い】もある。見て見ぬ振りをしていた【想い】。記憶の底に沈めてしまった【想い】。隠し通してきた【想い】。その何れかを媒体として発症する。
御鏡鏡夜。
彼の心に存在していた【想い】は…。
【ハウス オブ トーチャー】と云う能力として顕現した…。【ハウス オブ トーチャー】。訳すると【拷問の館】である。その館から出てきたのは嗤う道化師であった。御鏡鏡夜、彼は双子として産まれてくる予定だった。彼には妹がいた。【いた】と表記されていると云う事は…。過去形である…。御鏡兄妹は、一卵性双生児として産まれてくる予定だった。そして…。一卵性双生児としては珍しい異性一卵性双生児。だが、共に産まれてくる筈だった妹は産まれてはこなかった…。
双子の片方が亡くなり、お腹の内で消えた様に見える現象を【バニシングツイン】と呼ぶ。通常であれば亡くなった胎児は子宮に吸収されて消えてしまうのだが、稀に胎児が吸収されず、もう片方の胎児へ宿る事もある。亡くなった胎児がもう片方の胎児へと結合した状態を「寄生性双生児」と言い、五十万人に一人の確率で起こると言われている。御鏡兄妹はそうだった…。
その上、【ミラー・ツイン】でもあった。【ミラー・ツイン】一卵性双生児の中には利き手が左右に分かれていたり、旋毛が右巻き・左巻きと対称になったりする場合がある。左右対称の特徴を多く持っている双子を【ミラー・ツイン】と呼ぶ。受精九日から十二日前後で受精卵の分裂が発生した場合に【ミラー・ツイン】になると考えられている。【ミラー・ツイン】の中には、様々な外的要因の累積により、ごく稀に全臓器反転症、すなわち内臓位置の逆転(心臓が右にある等)が生じる場合もある。僕は全臓器反転症だった。【ミラー・ツイン】は単に顔の外観が、鏡像になっているだけではない。生物学的な相違点で示される事もある。鏡像的に異なった【人格の形成】【生活嗜好】【睡眠パターン】等、鏡像的相違が見られる場合もある。
そう。
優しかった妹は兄である鏡夜の命を守る為に自らの命を捧げた。鏡像的に異なった【人格の形成】。妹は正反対の性格で産まれた兄を見守っていた…。
御鏡鏡夜。
彼の内に潜在的にあったのは…。
残酷で狂暴な一面である…。




