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悪夢
私を水底へ誘うのだ。
光の明滅だ。白。紫。黄。橙。桃。目蓋を閉じていても、其の光は目蓋越しに感覚に浸透してくる。眩しくて恍惚状態に陥りそうになっていった。
チャプチャプと音がする。どうやら腰高までの水位のある水の中にいるらしい。私は歩いていく。ユックリと確実に前に進んでいく。歩く度に水面は揺れ、私を中心として波紋は広がっていった。無色透明の水は光を反射して明滅を繰り返してる。
不意に足元にキュッと何かが絡んだ。足元を掬われる感覚で、反射的に足元へと視軸を向ける。光の屈折で何かは解らないが、其れは腕にも視え、手の平にも視え、頭の様にも視えた。そして…私を水底へ誘うのだ。
私は幻想の中にいる。自分が自分では無いかの様に感じてくる。輪郭は曖昧で自分と世界が混じり合うかの様にも思えてくる。肉体の中にある感覚は希薄となり、自分が世界となり、世界は自分となった。
すると其処には【想い】だけが残る。
想いは凝縮していき、姿を得た。




