幽霊の製造方法
幽霊の正体です。
私は見も知らぬ人物へと問い掛けた。
〈幽きモノ…。儚くも美しい。触れてしまえば壊れてしまう…。幽玄の美に何であんなにも心を奪われるのでしょうか?〉
〈心だからですよ。〉
其の人物は、迷う事無く…。
そう言葉を紡いだ。
〈心?〉
〈そう。心だからです。貴方が好きだと仰っていた【幽霊】もそうじゃないですか?【幽霊】は人々の心が産み出したモノです。〉
其の人物は自然と言葉を書き並べていった。私は其の言葉に呑み込まれていく。
〈どう云う事です?〉
〈人の心にある想いに【名】と【形】を与えたから【幽霊】になったんですよ。人は【死】と云うモノに迚も敏感なのです。まぁ。当然と云えば当然ですよね。【死】は終わりなのですから。ソレで【死】に、少しでも【希望】を見出したかったのです。【死】んだ後にも【生】きる事も出来るのではないのかと…。〉
〈と云う事は【幽霊】は死んだ後でも【生】きていられる証明として存在しているのですか?〉
〈ソレもありますね。でも面白いのが人の心は複雑じゃないですか?人の心は【迷宮】とも例えられていますから…。僕が想うに【幽霊】とは人の心の【恐ろしさ】を現しているのではないかと想います。〉
〈【恐ろしさ】ですか?〉
〈はい。そうなりますね。〉
〈どう云う意味なのでしょう?〉
〈例えばですよ。誰も亡くなっていない、事故すら事件すら無い場所があるとします。踏み切りでも何処でも良いのですが…。でも…貴方は、その事を知らない。ですが…。其の場所に決められた時間、毎日の様に誰かが手を合わせ祈っている姿を見かけたのなら、どう感じます?〉
〈きっと誰かが死んだのかと…。〉
私は気付く…。
〈そうですよ。ソレが【幽霊】の産まれる切っ掛けとなるんですよ。誰かが死んだのでは無いか…。何で死んだんだろうか?あぁ。踏み切りなのだから…。電車に轢かれたのだろう…。痛かったのかな?未練はあるのだろうか?あるとしたのなら…。どの様な【想い】で死んだのか…。〉
私の脳裏に浮かぶのは…。
〈ソレが【幽霊】の正体です。〉




