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MELANCHOLIC HEAVEN 【戦火に咲く七輪の華・その記憶と記録】  作者: 倉木英知
【呪われた館と幽霊の製造方法】
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幽きモノ。


 幽玄の美


 自分の名に使われているからか、幼少の頃から眼には映らぬモノに心を奪われた。其れは【かそけきモノ】【幽玄の美】日本古来の美意識である。眼には映らぬ奥深さ、言葉で表現しきれない神秘的で優美な余情。視覚的な美しさだけでなく、その背後にあるモノを感じ取る美の境地…。幻想的で儚いモノ…。其れが何故、存在し、どの様な過程でその様な姿形を得たのか、其れを想像するだけで私の魂は震える。


 世界に異変が起きた。


 始まりは隕石である。直径十センチ程の隕石が東京へと落下した。隕石落下による直接的な被害は無かったらしいが、問題は、その隕石の内部に存在していた未知のウイルスにあった。後に【KARMA】と名付けられたそのウィルスは世界を崩壊させてしまったのだ。


 そのウイルスの感染症状は大きく分類すると四種類。


 ①人間の形状を失い、内に秘めていた欲望を具現化した様な怪物へと変異する症状。【欲獣化よくじゅうか


 ②その人間が抱えている心の闇が異能力として発現する症状。【咎人化とがびとか


 ③強大な異能力に耐えられず、眠りから目覚める事の無い植物状態になる症状。【獄人化ごくじんか


 ④無気力となり生きながらにして死んでいるかの様な症状。【虚人化うつびとか


 そのウイルスは人の心の闇に反応した。だからこそ世界中に蔓延する迄に、然程さほど時間は要さなかった…。そして、【KARMA】は人類の機能を奪い去ってしまったのである。


 法も秩序も道徳も、何の意味も成さず、まるで神話で語られる様な異形の化物や【幽きモノ】が跋扈ばっこする世界へと変貌していった。


 此れ迄の世界よりも美しいとさえ感じてしまう自分がいる。私は【咎】と名付けられた【異能力】を手に入れた。その【咎】の名に、形に、私は自分自身にも存在していた【幽玄の美】を視た。


 ソレこそが私が犯した罪の名で有り。

 形であったからだ…。


 

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