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発症。


 力なんて要らねぇよ。


 一階へと下り、玄関へと向かう最中だった。ガクンと俺の腕に重みが伸し掛かる。姉は気絶したのか意識を無くしている様だった。咄嗟に俺は姉をバスルームに寝かせる。洗面所には緊急時に使用出来る鍵穴があり、姉を匿うのなら最適だったからだ。俺は外側から硬貨で施錠した。


 俺に何が出来るのかは解らない。だが身体は自然と二階へと続く階段を上がっていく…。


 『十一年と云う歳月で容姿が変わっても尚、愛してくれた…。化物と化しても尚、護ってくれた…。俺も父さんや母さんと同じ様に己の信念を貫くだけだ。』


 【力を得られるのなら誰が為に使う?】

 美しい聲が聴こえた。

 『己の為。』

 【己の為?】

 『あぁ。俺が俺でいられる様に…。』

 【己とは何だ?】

 『現在いまは解らねぇ…。けどよ。理由なんて要るのか?俺は俺だ。己が正しいと想う事に力を使う。ソレじゃ駄目なのか?だったら力なんて要らねぇよ。力が有ろうが無かろうが俺は俺だからな…。力が無くても、俺が正しいと思ったのなら、ソレが俺の進む道だ…。』

 【この先に進む道が…。幾つもの屍で創られるいばらの道だとしてもか?】

 『さぁね。ソレはその時、考えるわ…。俺…。考えるの苦手なんだよ。』

 【気に入った…。俺の名をくれてやる。】


 本能は【咎】の能力を告げた…。

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