便利屋はつらいよ…
∼前回のあらすじ∼
処刑が決まりました
処刑人の肩に担がれ、部屋に運ばれて来た、スパイ。
「いてっ!もう少し、丁寧に降ろせよ…」
地面に捨てられたスパイを、魔道具の鎧を着た王女が出迎える。
「・・・遅い!」
「まず、お勤めを果たした俺に、労いの言葉はねぇのかよ?」
「あら?誰の一声で、牢獄から出られたと?」
「夜が明けるほどの、長~い一声だったがな!」
「牢獄での就寝は、快適だったでしょ?」
血走った目を限界まで開き、王女にアピールする。
「夢か幻か分かりませんが、先帝と”絶望の再会”を果たせましたよ!」
「自業自得ね…」
「はぁ⁈」
「だってあなた…王都への転移魔法が使えること、私に隠していましたわよね?」
優しい微笑みを見せ、怒りの圧をスパイに与える。
「・・・さぁ?何のことだ?」
涼しい顔で、恍けて見せる。
「門の警備が厳しくなり、あなたは王都から出ることが出来なくなっていた」
「そこへ偶然、兵士から逃げる偽勇者が現れた」
「あなたが開発した魔法陣に、偽勇者が改良を施したことで、転移魔法を発動させ、王都からの脱出を果たした…のよね?」
「ちっ全部、筒抜けじゃねぇか!偽勇者!」
「あなたが牢獄から出られたのは、転移魔法に利用価値があると、偽勇者が証明したからよ?」
「はい、はい。感謝してますよ、王女様!」
棘のある言い方で感謝を伝えながらも、礼儀正しい態度で誠意は示す。
「まぁ、良いわ…今後の作戦を伝えるから、早く鎧を着なさい」
王女が着ている鎧と同じ物を、不機嫌なスパイに手渡す。
「まさか…王城に乗り込むつもりか⁈」
「当然でしょ?王都に転移できるのだから」
「王都へ転移できたとしても、城内で魔法は使えないんだぞ?」
「大丈夫よ!私達には、予言の魔法があるんだから!」
王女の自身に満ちた表情に、悪寒が走る。
「予言ねぇ~嫌な予感しかしねぇ・・・」
昨夜の爆睡で、思考が研ぎ澄まされているスパイは、選択の余地が無いこと悟り、素直に鎧を着た。
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王城へ繋がる転移魔法陣が描かれた部屋に連れて来られた、スパイ。
「全員、帝国の鎧を着てやがる…」
先程までスパイを運んでいた処刑人に、大量の剣を運ばせる、王女。
「では、魔道具破壊・停止の班と、王救出の班に別れて、転移魔法を/
「待て!」
床に描かれた二つの転移魔法陣に、研ぎ澄まされた頭を抱える。
「…氷魔法と、光魔法は、一緒の班なのか?」
「ええ。お姉様と、お義兄様は、同じ班ですよ」
「その二人と、一緒に転移するのは…偽勇者なんだな?」
「まぁ!ご理解が早くて助かりますわ!」
悟りを開き、天を仰ぐ、スパイ。
「俺らの向かう王都は、処刑場だったのか・・・」
「・・・違いますけど?」
涼しい笑顔から一転、怒りの眼差しでスパイを睨みつけた、王女。




