解読難解
∼前回のあらすじ∼
兄妹喧嘩に巻き込まれました
王女と目が合わない様に、遥か遠くを見つめる、帝国スパイ。
あいつ!
「私が無礼を働いたのでしたら、お詫び致します。ですが…」
「待て!お前…その文字が読めるのか?」
眉をひそめた皇帝が、王女の持つ紙を指差す。
「文字?あ・・・」
日本語…そう言えば、こっちの世界に転生してから見ていなかったかも…
文字の読み書きには、一度も困ったこと無かったから、
つい、何の違和感もなく読んでしまっていた…
「え、え~と・・・」
疑いを持つ皇帝の眼差しに、冷や汗を流し、必死に言い訳を考える、王女。
皇帝に近づいた姉様が、手元から紙を奪い取る。
「あ~この文字!たしか、王国の古い文献で見た気がするな~」
「え⁈そ、そうですわ!私もそこで・・・」
お姉様~流石です!
咄嗟の機転でピンチを救って/
眉間にしわを寄せて、首を傾げる、姉様。
「だが…この漢字は見たこと無いな!」
「お、お姉様⁉」
再び、王女に向けられる、疑惑の視線…
周囲の視線など気にしていない姉様は、皇帝の椅子に足を乗せて詰め寄る。
「で、これは唯の紙切れ…じゃないのよね?」
「・・・未来予知魔法」
「対象を選択し、魔力を自身の体に巡らせる事で、対象の未来を授かる」
「だが!解読できない文字故に、未来の詳細は不明である」
たしかに…文字が読めたとしても、この文章じゃ意味が…
冷蔵庫?と電球?扇風機?に加湿器?
何で家電製品ばかり…
「もしかして・・・魔法の属性とか?」
「魔法だと?」
「・・・」
漏れ出た思考を隠そうと、咄嗟に口元を押さえた、王女。
姉様の足を払い落し、目線を逸らした王女に迫る、皇帝。
「・・・詳しく説明しろ!」
「え~と…」
思考を凝らし、この場を切り抜ける言い訳を絞り出す。
今更、知らないふりしても、誤魔化せるわけない
”転生者だから”なんて言ったら、もっと大事になることは目に見えている
でも、魔道具を使うこの世界で、家電の説明をしても伝わらないし…
どうしよう・・・
「言葉の意味は分からないけど、ニュアンス?が魔法の属性に似てるな~って…」
「魔法属性・・・」
「冷は、氷魔法。電は、雷魔法。風は、風魔法。加湿は…水魔法か!」
「いえ。電は、光魔法で、加湿は…炎魔法ですね」
冷静に間違いを指摘した王女を、無言で見詰める、皇帝。
「おい・・・警備兵を呼んで来い!」
「おっと…処刑は無しだぜ!処刑は…駄目だ!」
皇帝と王女の間に割って入り、珍しく強きで説得を試みる、スパイ。
「はあ?馬鹿か?貴様は!」
「・・・は?」
「未来予知が使える者を、余が処刑するわけ無いだろ?」
「あ・・・そう。そうか。そうっすよね~」
ほっと息を吐き、安堵する、帝国スパイ。
「喜べ!処刑されるのは…貴様だ」
「・・・え⁈」
「噓!噓!うそ~‼」
兵士に脇を抱えられたスパイは、地面に足を引きずらせながら、牢獄へと連行されて行った・・・




