視線を集めて
∼前回のあらすじ∼
皇帝が目を覚ましました
「おい!余の許しなく宴か?」
「・・・・・・」
俯き、沈黙する、一同。
「余の長期不在に、自身の立場を忘れたか…妹よ⁉」
「妹‼」
驚きの視線が、メイド服の女性に集まる。
「…私は、こいつの指示に従っただけです」
「え‼」
両者から睨まれた板挟みの状況に、言葉を詰まらせ躊躇する、スパイ。
「…よし!では、”処刑”するとしよう」
冷静さを含んだ皇帝の眼差しに、恐怖を感じとる。
「ま、まぁまぁ、兄妹喧嘩はその辺で/
「私は、先帝の養子。皇帝と兄妹になった覚えはありません」
「頭に乗るなよ?貴様は、先帝の残した汚点!何時でも潰せる…」
「あら?誰のおかげで、その椅子に座れていると?」
「ふははは、勘違いも甚だしい!戯言を示すだけの無意味な魔法など、何の役にも立たなかっただろ?」
両者、強気な姿勢を見せ、一歩も引かない…
兄妹仲は、あまり良ろしくないみたい
戯言の魔法は、気になるけど…
今は、口を出さない方が身のためかな~
「・・・何ですの、あれは?」
視線の先では、両手を合わせたスパイが、王女に念を送っている。
私に、二人の仲裁に入れと⁈
散々、皇帝を物のように扱って来た私に、止められるわけ無いでしょ!
内情を知らない私でも、皇帝が腹の底から激怒していることぐらいは分かる
私達を歓迎してくれた彼女が、処刑されることには心が痛むけど…
関わらない…関わらない…
「はぁ~。私!見てみたいな~その魔法~」
凍てついた周囲の視線が、王女に集める…
「ふっ面白い!貴様の魔法の価値、王女の目で判断してもろおうではないか!」
「・・・皇帝が『やれ』と仰るのでしたら!私は、命に従いましょう」
呆れた態度で、煽るように皇帝を凝視する。
「…誰か!紙と、筆を、用意しろ」
スカート裾をたくし上げ、地面に座り、足を組む。
折り目が付かない様、裾を靡かせて整える。
膝の位置に手を置き、手の平を上へ。
小走りをして来た召使いが、片手に筆を、片手に紙を、乗せる。
「…では」
動き出した腕が、紙に文字を淡々と綴って行く…
「・・・終わりました」
書き終えた紙を半回転させて、皇帝に差し押す。
「…おい!読め」
「・・・え、私⁉」
「他に誰がいる?お前が見たいと言い出だしたんだろ!」
周りに助けを求める王女を睨む、皇帝。
「はいはい。読みます!読みますから…」
「え~と、冷蔵庫と電球が道を拓く?扇風機と加湿器が汝を助けるだろう?」
「…って、何?なぞなぞ?」
驚き、椅子から立ち上がる皇帝と、王女から視線を逸らし、ざわつく召使い達…
「あれ?私…間違えた…」




