人心を操る術
∼前回のあらすじ∼
再び、帝国に来ました
【コンコン】
外から扉を叩く音が、静寂に響く。
地面に伏せた状態から、ゆっくりと顔を扉に向ける、帝国スパイ。
「あ~そう言えば…前回、王女勧誘に失敗したことを反省した皇帝が、歓迎の品が何時でも出来るよう、使用人に命令してあったな…」
「歓迎の品?」
【コン…コン…コン!コン!コン!】
執拗に叩かれる扉の音は、徐々に大きくなって行く。
「は、入っていいぞ!」
【・・・コン!コン!コン!コン!】
入出の許可を出したが、扉を叩く音は鳴り止まない…
「・・・お、お入りください…」
扉が開かれ、メイド服を着た女性を先頭に、様々な品が運び込まれて来る。
「こちら→”並ばないと買えない帝国のお土産ベスト10”で、御座います」
「へぇ~そんなランキングが/
先程まで怯えていた二人が、王女の肩を軽く跳ね除け、お土産の物色を始める。
「へぇ~人気なんですね・・・・」
元気を取り戻した二人の背中に、冷たい視線を向ける、王女。
「こちらには←”あの皇帝がご愛用!筋トレ器具ベスト10”で、御座います」
「そんな物…興味無い!」
「…同感だ!」
と…言い放ちながら、ゆっくりと近づき、品を手に取りって効果を話し合う二人。
…単純な人達でしたね~
王国から出てことの無い二人には、王国では嗜好品として扱われる、帝国土産。
筋肉馬鹿の二人には、馬鹿力の人間にも耐えられる、筋トレ器具。
正直、どちらにも興味が湧かない私としては…
「あの・・・」
「王女様には↓”月刊、皇帝写真集12冊(1年分)”を、御用いしています」
目を輝かせ、自信満々の笑みで、12冊を手に抱え差し出す、メイド。
「・・・ありがとうございます」
こんなに目を輝かせて、渡されたら…
”いらない”とは言えない…
「では後日、”100ダース”王国へお送り致しますので…」
「はい?」
「ご安心ください。”余るほど”在庫は抱えておりますので、遠慮なさらず…」
愛想笑いを見せ、ごみを縛る様に写真を紐でまとめて、王女に手渡す。
「・・・別の物に交換してもらえるかしら?」
差し出された写真集の側面を、愛想笑いを向け、手の平で押し返す。
「そう、遠慮なさらず…」
「いえいえ、遠慮なんて…」
帝国品を物色していた四人は、終わりが見えない押し問答を見て、ふと我に返る…
「受け取り拒否は、失礼な行為になるのでは?」
「賓客にゴミを渡す行為こそ、失礼では?」
両方から力強く押されて、圧縮された写真集…
「あ~俺が受け取って、後で燃やしておくから、もうその辺で止めとけ…な?」
いつの間にか、立ち上がっていた帝国スパイが、二人の間に割って入る。
「いいえ。これは、プライドの問題なのです!」
「そうです。王女様の言う通りです!」
「あ~でも…あれ→」
スパイの指指した先には、不敵な笑みで玉座に座する皇帝が、二人を見つめていた。




