道化師と道化師
∼前回のあらすじ∼
不倫現場を目撃しました
見て見ぬふりをする通行人の視線…
「お義兄様。私が仲を取り持ちますから、誤解を解きますしょう」
道端で正座を続ける義兄をに動くよう、説得を試みる、王女。
「気持ちはありがたいが、これ以外、私が反省の意思を示す方法は無い」
凛々しい正座を、通行人に披露する、義兄。
正直、二人の仲がどうなろうと、どうでもいい
しかし、兵士が迫る中、二人に夫婦喧嘩を始められたら…
「…面倒くさいな~」
隣で芸を披露していたピエロが、義兄の肩に、優しく手を差し伸べる。
「・・・当然の報いだ。慰めなど要らない」
オーバーサイズの服を引きずり、義兄の周り滑稽なダンスを披露する、ピエロ。
「気持ちはありがたいのだが、今は/
「お義兄様…馬鹿にされていますわよ」
「・・・何⁉」
「そのピエロの顔を、よ~くご覧になって下さい」
動きが止まったピエロの顔を、じっくりと見詰める。
「・・・誰だ?」
「おいおい…そりゃねぇよ!なぁ?」
「僕は会話したことありませんから、覚えられていなくて当然だと…」
「忘れられていたのは、俺だけか・・・」
ショックを受けて、直立で天を仰ぐ、帝国スパイ。
スパイなんだから、顔を覚えられてない事は、嬉しい事でしょ…
「で、転移で服が無くなったことは、見当がつきますけど…その衣装は何?」
「拾いました」
「盗ん…拾った!」
「へぇ~拾った…どこで?誰から?」
嘘をつき遅れたスパイに、苦虫を嚙み潰したような顔で詰め寄る。
「そ、そこの路地裏で…盗賊団に出会って…」
「盗賊団がピエロの格好?もう少し、現実的な噓をつきなさいよ!」
肩に担いだ皇帝を、スパイに投げ下ろす、王女。
慌てて皇帝を抱え、気まずそうに王女から目線を逸らす、スパイ。
「い、いや~ピエロの盗賊団は本当で、盗賊団から衣装を剝ぎ取ったってだけの話なんだけど…」
「・・・無実の民から剝ぎ取ったのでは無くて?」
鋭い目つきで、棒立ちの偽勇者に返答を求める。
「・・・はい」
背を向けて歩き離れ、優しい笑顔で振り返る。
「では・・・死んでください」
「・・・は?何で、俺が殺されるんだよ!理不尽だろ!」
「今のは、そういう話でしたわよね?」
再び、鋭い目つきで、偽勇者に返答を求める。
「…在りもしない嘘をつき、王女に恥をかかせたのですから、死罪ですね」
「お前!裏切りやがったな!」
胸ぐらを掴み合う、ピエロとピエロ。
「まぁまぁ、悪気は無かったのだろう。許してやりなさい」
立ち上がった義兄が、胸ぐらを掴んだ手を引き離して、仲裁に入る。
「お義兄様が、お姉様と仲直りしてくださるのなら…
「お兄様・・・」
義兄の手を両手で握り、感謝の眼差しを向ける。
握られた手を、力強く両手で握り返す。
「私を馬鹿にした件について、許すつもりは無いがな…」
「あ、あ、あはははは…王女様?」
呼びかけられた王女は、優しい笑顔を向けて、通行人の波に消えて去った。




