余計な一言
∼前回のあらすじ∼
王都から脱出しました
兵士を振り切り、隣街に走り着いた、一同。
「無事?何事も無く着きましたわね~」
花が並ぶ通りに癒され、大きく背伸びをする、王女。
「姐様…なぜ、花屋がこんなに?」
「昔、好き嫌いの激しい、気難しい女王様がいたらしい…」
「王都へ向かう貴族は、女王が好きな花を、献上品としてこの街で買い求めた」
「結果、この街は花の名産地へと変貌を遂げた」
「お母様の話を、”昔”の出来事のように…後で、お叱りを受けますよ?」
「ははは、大丈夫だよ~王都から離れた場所なら、女王様の地獄耳には入らない…と思う」
「忠告はしましたよ…私は知りませんからね…」
花屋に潜んでいる誰かに伝わるように、辺りを見回して目線を送る。
「・・・噓?」
こちらを見る店員の視線が、凶器の目へと変わる…
「冗談ですよ…少し、緊張感を持って行動を・・・あれ?」
通りで群がる淑女の中心に、見覚えがある人影が…
「・・・お義兄様?」
「あはは・・・」
訳も分からず人集りに飲まれ、困惑した表情の義兄。
全員が口を噤み、場の空気が凍りつく…
「え~と…取り敢えず、無事でよかったで…お姉様?」
顔を凍りつかせたお姉様が、ゆっくりと人集りに近づいて行く。
「へぇ~人気者じゃない…」
「…お義兄様!逃げて下さい!」
身振り手振りで、お姉様の接近を伝えようとする、王女。
王女と目が合い、のんきに手を振って返す、義兄。
「おお~迎えに来て・・・違うんだ⁉これは⁉」
「やましい事が無い人は、一言目に言い訳なんてしないわよね?」
その場で正座になり、素早く頭を地面に付ける。
「すまない…違う、誤解なんだ!」
「・・・すまない?」
火に油が注がれる…
「今、謝った?謝ったのよね?へぇ~謝るような事をしたって、認めるんだ⁈」
「いや…違…いや…」
「もう結構です!」
頭を下げ続ける紳士と、啞然とした淑女を残し、どこかへ行ってしまう。
残された空気に耐えれきれず、散り散りに解散して行った淑女を見届け、
正座するお義兄様に近づく。
「お義兄様…無事みたいですね」
「…無事に見えるか?」
「姐様を傷つけたのですから、自業自得です!」
素直な意見に感銘を受け、地面に頭を打ち付ける、義兄。
「と、取り敢えず、顔を上げて下さい」
顔を上げた義兄は、皇帝を肩に担ぐ王女を見て、飛び起きる。
「なぜ、皇帝がここに⁉」
「・・・私が言うのも何ですが、一言目が間違っていますわよ?」




