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勇者が死んだ王都では  作者: 真知コまち


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64/68

 忘却の彼方

∼前回のあらすじ∼


  飛びました


 「どうするのよ~」

  胸ぐらを掴み揺らすが、既に、死の覚悟を決めた皇帝は、微動だにしない。


 柵に刺さった未来が、王女の脳裏に過る…


 「…ブラックボックス!」

  後が無くなり、追い詰められた王女は、無駄だと知りながら、転移魔法を試みる。


【ドンッ──】

 衝撃音と共に、辺りに舞う土煙…


 「・・・あれ?生きてる?」

 

 土煙から現れた二人は、柵槍から数メートル離れ、《ブラックボックス》の転移先に着地していた。


  ここは、城壁の外…つまり、魔法無力化まどうぐの範囲外!

  無効化の結界は、王都に現れた反乱を想定して創られている

  王都から少しでも外に出れば、魔法は使えたんだ!

  魔道具を破壊しない限り、魔法は使えないと思い込んでいた…

 「あーよかった~」


「・・・おい!いつまで、余に座っているつもりだ⁈」

 安堵する王女の下で、口から血を吐き出して倒れた、皇帝。


 「・・・ぷぅ、無様ね」


「貴様!誰のおかげで、生きていると…」

 無下に扱われた皇帝は、怒り狂い、吐血する。


  どうやら、柵槍への落下しょうとつは避けられたが、

  地面へ着地しょうとつした時の衝撃じゅうりょくは、残っていたらしい

  転移魔法が使われた事を瞬時に判断した皇帝は、

  時間魔法を使い、着地時の衝撃を、全て一人で受けた。

 柵を避けたのは転移わたしの魔法だけど…一応、助けてもらったのだからお礼ぐらいは…

 「・・・ありがとう」


 至近距離で見つめ合う、二人…


「貴様・・・貧弱な体にしては、重すぎる!もっと、鍛えて…」


 「お姉様、今です!」


  「ああ!」

   皇帝の背後に控えていたお姉様が、皇帝の頭上部を、拳で打ち抜く。


   顔を上下に揺らし、白目をむいて倒れた、皇帝。

  「あ・・・りすぎたか?」


 「いえ、構いませんよ(こそ)どちらでも(こそ)


 城門が開き、武器を持った兵士が、一同を捕らえに向かって来る。


────────────────────────────────────


  「悠長ゆうちょうな事している時間は無さそうだな…取り敢えず、隣街までにげるぞ!」

   気絶した皇帝を抱え、走り出した一同の前に、光り輝く魔法陣が現れる。


「呼ばれて、飛び出て、帝国運送で~す(じゃじゃ~ん)


 「・・・なんですか、それは?」


「え⁉あれ?知らない?いや~知らねぇなら…忘れてくれ・・・」

 予想外の反応に、恥ずかしくなり顔を背ける、帝国スパイ。


 「・・・で、何の用ですか」

  照れるスパイに冷ややかな目を向けながら、話しを続ける、王女。


「あ…ああ。我らの皇帝あるじを迎えに来たんだが…どういう状況だ?」


 「見ての通り、あの兵士から逃げている所です」

  城門前に集まった兵士を指差す。


「そりゃぁ、丁度良い。”誰にも真似できない”新しい転移魔法を開発したんだ!」

「この魔法陣はな…」

 説明をしながら、地面に魔法陣を書き始める、スパイ。


  スパイを横目に、後ろに迫る兵士の列に目を向ける…

 「・・・置いて行きましょうかね?」


  「…ああ」

   魔法陣を書くスパイを弱い足蹴りで小突き、隣街に向かって走り出す、王女たち。


「え!あ…待てよ!うぇ・・・」

 地面に寝そべるスパイは、王女たちを追う兵士の列に飲み込まれて、踏み続けられた。

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