話し合いをしよう
エマとルイナの会話がこれ以上ヒートアップしないように間に入るために近づく。すると、俺に気がついルイナが体ごとこちらに視線を向ける。
「ボクはこのパーティなら上を目指せると思っているんだ。だから正直、このパーティから抜けたくはない。だいたい、ボクよりいなくなった方がいい奴が他にいるしね。 エマが言えないならボクがいうよ」
「ちょっと待ってーー」
俺はエマを手で静止させる。
「ルイナの考えはよくわかった」
「今更な気がするけどね。なら、さっさとこのパーティから出て行ってくれるんだよね?」
ルイナの目を見てしっかりと言う。
「それはできない」
俺の返答に驚いたのか一瞬目を丸くするが次の瞬間大きな声で笑い始める。
「あはははははっ、まだそんなことを言っているのか。どれだけ恥知らずなんだよ!」
「少し勘違いがあると思うんだ。だから話がしたい」
「ボクに話すことなんてないよ。お前がいなくなればそれでいいんだからさ」
拳を握りぐっと堪える。舐めたような視線を向けた後やれやれと言わんばかりに肩をすくめる。
「でもまぁ、どんな言い訳をするのかは興味があるから聞くだけ聞いてあげるよ」
「助かる」
「あまりにもふざけた内容だったら無理矢理にでも辞めされるけどね」
ルイナが一瞬強い殺気を放つ。無理やりというのはそう言った意味なのだろう。流石に殺されはしないと思うが……
エマもルイナの殺気を感じ取っているだろうが何も言わない。
「わかった」
「じゃあ、ボクは帰るよ。なんだか冷めちゃったし。明日どんな言い訳を聞かせてもらえるのか楽しみしてているから」
そう言って店を出ていくルイナの姿が見えなくなるまでじっと見つめる。
「では、私も帰らせていただきます」
ルイナに続いてスフィリアも店を出て行った。
流石に大騒ぎしすぎたせいだ注目を浴びすぎてしまった。居心地の悪さを感じた俺とエマもお金を払うとすぐに店を出た。
◆◆◆
店を出て宿に向かって歩いている中エマが口を開く。
「いつもごめん」
「何が?」
突然の謝罪に困惑して聞き返す。
「リアムに頼ってばかりだから……今回のことも私がもう少し抑えていればこんなことにはならなかったと思う」
「それはどうだろうな。遅かれ早かれこうなっていたさ」
「……」
おそらくエマも同じように思っていたのだろう。沈黙がそれを物語っている。
「心配しなくていい。俺が上手くなんとかするから」
「うん……」
「エマが気にする必要なんてない。全ての原因は俺なんだから。時間が欲しいって言ったのも俺なんだし」
そう。俺がもっと上手くやっていればこんなことにはならなかっただろう。でも、時間をかけたかった。
家を追放されて生まれ育った国から出てこの国に来た俺のことをわざわざ見つけ出してまで頼ってくれているのだ。その気持ちに応えたい。
エマの夢の実現のためには2人のことを実力以外のところも見ておきたかったのだ。
「明日の話し合いでルイナのことはどうにかする」
先ほどのルイナの様子を思い浮かべると思わずに苦笑いが出てしまう。
「ルイナの方に話し合いをする気があるかどうか怪しいけどな」
冗談めかしく言えば少しだけエマの表情が柔らかくなった。そんな話をしていると宿の前に到着した。
「俺は向こうだから」
「うん。あのさ……」
何か言いたげな様子のエマ。黙って待つ。
「こんなこと私がいうのはどうかと思うんだけどさ……ルイナに優しくして欲しいの」
申し訳なさそうにいうエマに笑いかける。
「わかってる。これから一緒に冒険をしていく仲間だからな」
「ありがとう。おやすみ」
「おやすみ」
夜の挨拶をした俺たちはそれぞれの宿に向かった。
宿に着いた俺は体を投げ出すようにベッドの上に寝転ぶ。少し汚れた古い天井が映る。
エマの気持ちは最大限尊重しようとは思っている。
眠気に身を任せて俺はゆっくりと目を閉じた。




