630 初めての物販
物販
「えぇ・・・これに並ぶの?」
会場は埼玉にある有名な場所。スーパーアリーナという名前は知ってたけど、こうして直で見ると本当に大きいとは思うが、駅からでも見えるあまりの行列に思わずそんな声が出てしまう。
「今回はマシな方でござるな。徹夜組とか居るともっとヤバいでござる。始発でも出遅れるから地方は厄介なのでござる」
「徹夜って、ライブにそこまでするのか?」
「ライブグッズは数が少ないものも多いでござる。ガチ勢にとって徹夜くらいは当たり前でござるが・・・まあ、最近は迷惑行為なので少なくなってきたでござるよ」
そう言いながら最後尾まで歩くが、朝もかなり早いというのに、既に100人以上は居るので恐ろしいものだ。しかも、俺達の後ろに更に列が出来てきてそれが止むことはない。
「ちなみに、物販ってもう始まってるの?」
「あと4時間くらいで始まるでござる」
「・・・ちょっと待って。あと4時間もここで待つの?」
「多分、会場スタッフがもう少ししたら本格的に列の誘導をするでござるが、基本物販の時間は同じでござるよ」
ふと、周りを見てみると、スマホでゲームしたり、動画みたり、音楽を聴いたり、読書をしたりとそれぞれの方法で時間を潰していた。
「チケット代と交通費ですら高いのに、グッズまで買うとか・・・」
「オタクとは業が深い生き物でござるからな」
ゲンナリする雅人に深く頷く斉藤。
「拙者も初めてのライブで10万越えなんて珍しく無かったでござるよ。最低でも5万くらいは使ってしまうでござる」
「よく金持つよな」
「元々、バイトがてら彼女の同人作業も手伝ってて、それなりに儲けてるでござるからな。今はそれに加えて、資産が増えてきたでござるから、問題ないでござるよ」
なんか、先頭の人が『ココアたん命!』と書かれた法被を着ていたのだが、凄い場所だなぁ。
「斉藤は、ああいうのはしないの?」
法被の人を見て聞くと、斉藤は首を横に振ってから真剣な表情で言った。
「あれは、一部のオタクのみに許されたコスチュームでござる。拙者には着る資格はないでござる」
「本音は?」
「自作するならコスプレ衣装の方が楽しそうでござる」
なるほど、でも、あそこまでのめり込めるのはある意味羨ましくもある。俺の場合は、千鶴と遥香が居るから、こういうのにガチハマリすることは無さそうだけど・・・そういえば、2人は大丈夫かな?お昼の準備すらさせて貰えなかったから、助っ人は呼んでおいたけど・・・




