629 ライブの作法
ヽ(・ω・ヽ
「にしても、ライブって楽しいもんなのか?」
まだまだ不機嫌さは無くならないようで、そんなことを聞く雅人。そんな雅人の質問に斉藤はドヤ顔で答えた。
「一度行けば絶対にハマると保証するでござるよ!」
「ヲタ芸とかするのか?」
「今どきそんなベタなオタク居ないでござるよ。そもそも会場の規模的に、迷惑行為でござるから。ペンライトの改造と隣の客への迷惑行為、あとは常識的に考えればやっちゃダメだと分かることに気をつければ大丈夫でござるよ。まあ、他人に迷惑をかけなければある程度は寛容でござる」
「ペンライトって、あれだよね、ライブで振ってる人がいる光るやつ」
なんとなく、ライブというと、そんなイメージがある。
「持ってないんだけど、大丈夫?」
「拙者のキンブレを貸すでござるよ」
「キンブレ?」
「キングブレード、何色もあるペンライトのことでござる。スイッチで色が変わってライブでは物凄く便利なのでござる。会場で売ってるグッズのペンライトもいいでござるが、今回のライブはキンブレでも問題ないのでそれで大丈夫でござる」
知らないことだらけだが、スラスラ答える斉藤は楽しそうだ。
「それから、飲み物は最低三本は買うべきでござる」
「え?ライブってそんなに長いの?」
「ほんの2、3時間でござるよ。でも、その場で飛んだり跳ねたり、声を出したりして水分補給が必須なのでござる」
飛んで跳ねてって・・・それは迷惑行為ではないのだろうか?あ、でもなんか会場が一体になってるのはなんとなく想像がついた。
「なんか、スポーツみたいだな」
「ある意味そうでござるな。特に、今回のライブの声優さんは我々にとってコールが多い激しめな曲がメインなので、座ってる時間はほとんどないでござる」
え?そんなに激しいの?なんか、全く知らない俺と雅人は超アウェーじゃない?
「2人とも、それとなく隣の拙者の動きに合わせればいいでござるよ」
「・・・分かったよ」
ため息混じりの雅人。俺は眠気の方が強くて不機嫌なのかと思っていたけど、もしかして・・・
「雅人、水瀬さんと何か用事あったの?」
盛り上がる斉藤に聞こえないようにこっそり話しかけると、雅人は首を横に振って言った。
「誘うつもりが、斉藤に突撃されたんだよ」
「あー・・・ドンマイ」
「お前もな」
まあ、斉藤に悪気はないし、お金を出してくれてまで俺たちと行きたかったのなら、嬉しいことではあるので、素直に受け入れよう。そんな感じで斉藤のライブ講座は新幹線の中でずっと続いたが、本人が楽しそうなので見守ることにした。




