626 花火を見ながら
打ち上げ花火
「わぁ・・・!きれいだね、ぱぱ!」
嬉しそうに打ち上げ花火を見てはしゃぐ千鶴。会場を少し離れた所にある、公園のベンチで俺たちは揃って花火を見上げていた。ママ友さんから教えて貰った秘密の場所だが、ゆっくりと花火を見れるのは有難い。
俺の膝の上に座る千鶴と、隣に座っている遥香。レナちゃんにも嬉しそうに話しかける千鶴だが、喜んでいるようで何よりだと心底思う。
「遥香、あんまり構えなくてごめんなさい」
「気にするな・・・なんて、カッコイイこと言いたいが、分かってるだろ?」
うん、まあ、遥香的に分かっていても、嫉妬心はあるだろう。そんな所も可愛いんだけどね。
「はい。なので、帰ったら存分に甘えてください」
「今はダメか?」
「そうですね・・・とりあえず、ここではこれで我慢してください」
そう言ってから、遥香を優しくこちらに抱き寄せる。それで少しだけ機嫌を直してくれたようで、少しホッとしつつも、後でちゃんと愛でようと決めていると、遥香はポツリと言った。
「お前の温もりがあると、どうしても安心して甘えちゃうな」
「いいんですよ。いつも遥香は頑張ってるんですから、俺の前でくらいは甘えてください」
「・・・狡いヤツめ」
そう言いながらも嬉しそうな表情の遥香。娘も嫁も可愛くて俺は幸せ者だなぁ・・・と心底思う。
「花火、綺麗だね、雅人くん」
「・・・そうだな」
昔なら、イチャイチャしていたら、茶々を入れたかもしれない親友も今は楽しそうに恋人とイチャイチャしていた。まあ、文脈的に『お前の方が綺麗だ』的なこと言いたげだったけど、まだ言えそうにはないな。
「先輩、花火綺麗ですね。先輩の方が綺麗ですが」
そんな、夫婦とカップルが仲睦まじい中で、唯一の例外の後輩は気まずくて静かにしてるのかと思ったけど、相変わらずの様子で少し苦笑してしまう。というか、雅人が言えなかった台詞でナチュラルに俺を口説こうとするな。
「れなちゃん!らいねんもはなび、いっしょにみようね!」
「そうですわね」
「つぎは、かなちゃんもさそう?」
「まあ、ちづるちゃんがそうしたいなら、かまいませんわ」
そして、娘の方は親友と楽しげな会話をしていた。そういえば、もう1人仲良くしてる子は今回来れなかったらしいな。来年は赤ちゃんもいるし、人混みは難しいかもだけど・・・遥香や千鶴には楽しんできて欲しいものだ。
綺麗な花火が夜空に咲くが、やっぱり、大好きな人と可愛い娘と見る花火は別格だなぁと心底思うのだった。




