625 チョコバナナ
定番
「ぺろぺろ」
チョコバナナを美味しそうに食べる・・・いや、舐めるか?千鶴とレナちゃん。女の子はやっぱり甘いもの好きなんだなぁと思ってその光景を眺めていると、後輩が話しかけてきた。
「先輩は食べないんですか?」
「まあね、今はいいかな」
「じゃあ、私の分あげましょうか?」
「いや、別にいいよ。というかわざとやってるでしょ?」
「なんのことでしょう」
遥香が少し嫉妬しそうな行動をわざとする後輩にため息をつきつつ、俺は言った。
「浴衣姿の女の子見てなくていいの?」
「今日は保護者ですから、ナンパは控えます。若いママさんも多いので誘惑に負けそうですけどね」
「既婚者は止めときなよ?」
「大丈夫です。その辺は気をつけてますから」
まあ、若干この後輩ならやりそうな気もしたが・・・そこまで酷くはないか。
「先輩、失礼なこと考えてません?」
「気のせいだよ」
「ならいいですが」
疑いの視線から逃れるために、俺は千鶴に近づく。
「千鶴、ちょっと待って」
「・・・?うん、わかった」
素直に言うことを聞いて食べるのを止めてくれた千鶴。本当にお利口さんだと褒めたくなるが、その前にチョコで口元が汚れていたので拭いてあげる。
「はい、いいよ」
「ぱぱ、ありがとう」
「どういたしまして」
最近少し大人びてきたように思えていたけど、まだまだ子供な部分もあって微笑ましくなる。そういえば、去年の今頃だったかな?遥香の家に引っ越して住み始めたのは。背丈は伸びてきたけど、俺にとってはいつまでも可愛い娘のままだ。
「ちづるちゃん、つぎはあれですわ!」
「どれ?」
一足先に食べ終わったレナちゃんが、次に指さしたのはヨーヨー釣り。千鶴も楽しそうに着いていくので、いい友達を持てて何よりだと思える。
思えば、俺も親友と呼べる人物と知り合えたのは千鶴と同じ年頃だったかな?そこら辺は、親子なのかもしれない。レナちゃんが千鶴とずっと仲良くしてくれるなら、そうなる可能性も高いしね。
「先輩、行きましょうよ」
「分かってる。遥香達はどうします?」
「後から行くから、先に行っててくれ」
「了解です」
今日はあんまり構えてないし、帰ったらとことん嫁を愛でるとしよう。遥香は意外と寂しがり屋だから、構ってあげたいのだ。いや、それは最大の理由じゃないな。1番は、やっぱり好きだから愛でたいのだろう。夏休みも残りわずかだし、一緒に居られる時間はゆっくり過ごさせてあげたいのだ。産休と育休も取るらしいけど・・・それでも、出産という大変なことをする嫁を大切にしないとね。もちろん、娘も構うけど。




