623 金魚すくい
リターン
「どれやろうか〜」
「そうですわね・・・まずはあれですわ!」
レナちゃんが指さしたのは、金魚すくいのコーナー。初手で金魚すくいというのも凄いけど、本人達が楽しそうだし、黙って見守ることにする。
「ちづるちゃん、わたくしがおてほんをみせますわ」
「れなちゃん、じょうずなの?」
「おねえさまにならいましたの」
隣を見ると、百瀬さんがドヤ顔をしていた。スルーしよう。そんなことを思っていると、レナちゃんは自信満々にポイを受け取ってから水に浸して・・・あっという間にポイを破ってしまった。
「・・・やぶれた」
「つ、つぎはうまくできますわ!」
後輩がさりげなくお金を屋台のおじさんに払って、追加のポイをレナちゃんに渡していた。姉としては物凄く面倒見が良く見えるが・・・
「百瀬さん」
「なんですか、先輩?」
「あんまり教えてないでしょ?」
「あれ?バレましたか?でも、ポイが破れてドヤ顔が崩れたレナ可愛いでしょ?」
なんとも性格のいい後輩だことで。
「れなちゃん、ちーもやってみる」
「わかりましたわ」
「ぱぱ」
「分かったよ。おじさん代金ね」
とはいえ、千鶴も去年の少し教えた程度だから果たして覚えてるか分からないけど・・・なんて、思っていたらあっさりと1匹取ってしまった。あまりの早業に皆が驚く中で、千鶴はその取れた1匹をレナちゃんに渡して言った。
「はい、れなちゃん。ちーのあげる」
「・・・じぶんでとれますわ」
「ちーのところ、ねこさんいるから、もうかえないの。だから、れなちゃんにたいせつにしてほしいの」
「・・・まあ、それなら、うけとりますわ」
・・・あれ?ウチの娘がイケメンすぎるんだが・・・にしても、本当にこの子は遥香に似て器用な事だ。まあ、確かに子猫のユキはいるが、飼えないことはないので、レナちゃんのために取ったのは明白だった。
「先輩の娘さんは、凄いですね」
「自慢の愛娘だから」
「ふふ、それにしても、レナもチョロいですねー。そんなところも可愛いですが」
まあ、否定はしないが・・・レナちゃんがチョロいよりも、ウチの娘がカッコよすぎただけだろう。いつもの可愛らしい感じもありつつ、遥香の遺伝を感じさせる内面のイケメンっぷり。レナちゃんがそっち方向に目覚めないことを切に願うしかないな。現に姉と母は目覚めてるみたいだし、真っ当な道を進んで欲しいと願うばかりだ。
友情で終わってくれればいいが・・・その辺は、本人たちに任せるしかないか。結論、千鶴が凄すぎた。




