615 ドキドキの意味合い
キドキド
「じゃあ!行ってくるぞ!」
「うん、お風呂用意しておくから、帰ったら入ってね」
時刻は朝の5時前、祖父は昨日のお酒もすっかり抜けたような爽やかな笑みでランニングに出掛けていた。こんな朝早くからよくやるよ。まあ、こんな時間に起きてる俺が言うセリフでもないかもしれないが。
早起きという習慣はやはり、どうしても抜けないものだし、仕方ない。そう思って台所で調理を始める。今日には自宅に戻るので、今のうちに作り置きして祖父が食べれるように色々用意しておくのだ。
海斗と愛香さんも、母のお墓に墓参りしてから、帰るそうだ。朝食の準備に愛香さんが起きてくる前にある程度済まさないとなぁ・・・そんなことを考えていると、やはり手伝いに起きてきた愛香さんが台所に入ってくる。
「おはようございます、お義兄様」
「おはよう。早いね」
「お義兄様ほどではありませんよ。何を作ってらっしゃるのですか?」
「ん?ああ、祖父のために色々とね」
「お義祖父様ですか、なるほど」
そう言ってから、持参したエプロンをつけて手を洗って手伝いに入る愛香さん。
「朝早くから、悪いね」
「私も巽家の人間ですから」
・・・相変わらず気の早い子だが、この位が海斗には丁度いいのだろう。
「海斗と同室だったけど寝れたかな?」
「ドキドキして少しだけしか寝れませんでした」
部屋は余っていたけど、さり気なく同室を勧めたらノリノリで海斗と同じ部屋に入った愛香さんなので、あまり心配はしてなかったが・・・やはり愛香さんでも緊張するものなのだろうな。
「本当に・・・いつ我慢の限界がくるかドキドキしてました」
・・・うん、そういうドキドキじゃないかな。襲う側なのは流石すぎるけどさ。まあ、海斗から襲うなら、ある意味愛香さんは万々歳なのだろうな。
「海斗くんも、昨日はあんまり寝れてないかもしれませんね」
「まあ、帰りは電車の中で少し寝れるだろうし大丈夫でしょ」
他人事すぎるって?まあ、でも俺も遥香の時は色々あったし、雅人のラブコメ展開とか見てればこの程度はありだろうと思われる。
雅人と言えば、帰ったらベッドが使った形跡あったらある意味凄いかもなぁ・・・まあ、水瀬さんのことだし、多分それはないだろうけど、雅人が我慢出来なくては考えられるし。
「お義兄様?」
「ん?ああ、ごめん。じゃあ、起きてくる前に作るとしますか」
そんな感じで、愛香さんに軽くレクチャーしながら、俺は祖父のための作り置きと、朝食を仕上げるのだった。




