614 兄として
兄さん
「ぱぱ、かみ〜」
「はいはい」
お風呂から上がってきた千鶴の髪を乾かす。遥香に似た綺麗な髪なので、整えるのが楽しすぎるのだが、それは仕方ないだろう。
「健斗」
「分かってますよ。千鶴終わったらすぐにやります」
「頼んだ」
「お義兄様、やっぱり手馴れてますよね」
俺の手つきをみてそんなことを言う愛香さん。風呂上がりの姿に我が弟が少し照れてるのが面白い。
「こういう事はね」
「私も海斗くんに頼みましょうかね」
「・・・無茶言うなよ。兄さんの真似なんて出来ないし、女の子の髪なんて分からないから」
照れつつも湯上りの愛香さんにドキドキしながら、そう答える海斗。まあ、海斗はイケメンだけど、女性経験が皆無という貴重な存在だからなぁ。雅人は純愛が知らないだけで、女性経験は豊富と言えただろうけど、海斗はそもそも全く女を寄せ付けないから、愛香さんが何でも初めてなのだろう。
「残念です、そういえばお義兄様」
「ん?なにかな?」
「お義祖父様はどちらに?」
「自室に運んだよ」
久しぶりにお酒を飲んだからか、寝息をたてていたので、海斗と2人で部屋まで運んだのだ。別に1人でも運べたけど、筋肉質な祖父を1人で運ぶのに少し抵抗があって手伝って貰った。
「ほい、出来た」
「ぱぱ、ありがとう」
「いいよ。可愛い娘のためだからね」
「えへへ」
乾かし終わったので、頭を撫でると嬉しそうに微笑む千鶴。あー、ウチの娘可愛すぎるなぁ。
「健斗」
「はいはい」
でも、やっぱり嫁の髪の毛は素晴らしいなぁ、髪フェチじゃないのに、素晴らし過ぎてやばい。
「海斗くん」
「・・・なに?」
「どうしてこっちをしっかりと見てくれないんですか?」
そして、俺がそんなことをしていると、弟は彼女とイチャイチャしていた。わざと開いた胸元を近づけて視線を反らそうとする海斗に見せつけるように近づく。あれ絶対わざとだなぁと、愛香さんの性格から予想する。
結婚前、遥香にされたようなことを思い出して苦笑するが、兄弟揃って押しの強い女性に当たったのは仕方ないかもしれない。母さんもある意味天然さんだったように思うし、これは血筋柄仕方ないことなのかもしれない。
「海斗くーん?」
「・・・勘弁してくれ」
そう言いつながら、チラチラと胸元を見てるので、やはり海斗も男なのだと少し安心した。まあ、好きな女の子から、そんな誘惑されたら、男としては色々大変なのだろう。慣れることはそうそうないだろうが、弟が幸せそうなので兄としてとりあえず安心だったりする今日この頃です。




