612 祖父頑張った
(ง •̀_•́)ง
「初めまして、お義祖父様。姫路愛香と申します。海斗さんの彼女兼婚約者です」
「・・・巽辰五郎じゃ」
事前の連絡があったとはいえ、やはり愛香さんと祖父は初対面だったらしい。遥香の時みたいに全身フル装備じゃないのは褒めるべきだろうが、少しだけ不機嫌そうだった。
「海斗さんからお義祖父様のことは伺っておりました。とても尊敬出来る自慢の祖父だと」
「む?そ、そうなのか?」
祖父としては、海斗も可愛い孫なのだが、海斗の方は父ほどではないが距離があったので、そういう事は聞いた事無いのだろう。まあ、社交辞令も入ってるだろうけど。
「私も何れは巽家へと嫁入りをする身。海斗さんの良き妻となるべくお義兄様の元で嫁入り修行をし、精進させて頂きますのでどうかよろしくお願いします」
・・・何だろう。付き合ってそんなに長くないはずなのに、既に結婚して嫁入りする覚悟決めてるのは本当に今どきの子なのか不思議に思ってしまう。人のこと言えないだろうが、俺はある意味例外だし、遥香もそうだろう。
それに、祖父のあしらい方も上手い。最初に社交辞令とはいえ、可愛い孫が褒めていたと告げてから、機嫌が良くなったのを見て、さり気なく嫁入りする意志を告げる強かさ。
そして、嫁入り修行はやっぱり俺が担当なのね・・・まあ、大した手間じゃないし構わないけどさ。
「海斗、お前の彼女さん凄いな」
「そうかもね」
苦笑しつつも、優しく見守る姿は俺の知ってる本来の優しい弟で少し安心した。そんな俺達を他所に、祖父を持ち上げつつ、結婚に向けての言質を取る姿勢はアグレッシブすぎてある意味見習いたいものだ。
このやり取りを千鶴とゆったりしつつ見ている遥香もクスクスと笑っていた。遥香も一度決めたら行動するタイプだから、気持ちが分かるのだろう。
「お義兄様のお料理の師匠の1人は、お義祖母様だと伺いました。そんな素敵な女性が妻で、しかもお孫さんであるお義兄様や海斗さんも優秀で、お義祖父様は幸せ者ですね」
「そうじゃろそうじゃろ!」
・・・うん、俺は別に優秀ではないんだが・・・孫が可愛い祖父にはそこに疑問がないのだろうな。海斗は確かに素で優秀だけど、俺はあくまで普通レベルだからと内心ツッコミを入れたくなるのを我慢していた。
しかし、これが愛香さんのコミュ力の高さによるものであろうと、それを最初に聞くことが出来るようになった祖父は本当に凄いと思う。鎧を纏って待機してた頃が懐かしく思えるが、よく頑張ったと褒めたくはなるよね。




