611 弟の帰省
久しぶり?
「兄さん、久しぶり」
「お義兄様、お久しぶりです」
母さんの墓参りが終わり、千鶴は曾孫が可愛い祖父に構われているが、段々と扱いが分かってきたのかスルーしており、そんな千鶴を見守りながらゆったりしている遥香という構図が居間には出来ていた。
そんな状況なので、帰省がいつもより遅めの弟を出迎えるのは俺の役目みたいなので、弟とその彼女である愛香さんを出迎えていた。
「久しぶり、愛香さんも来てくれたんだね」
「はい、夫の本家への挨拶は必要ですので。ご実家はお義兄様のいる家なのでしょうが、お義祖父様にもご挨拶したかったので」
相変わらずグイグイ来る子だ。既に彼氏を夫呼びしてるとか、進展の早さは凄まじいものだ。というか、普通は兄夫婦の家を実家と呼ぶことはなさそうだが・・・まあ、父さんの今住んでる家を実家とは呼べないのかもしれない。
「そっか、海斗も元気そうで何よりだよ」
「うん、兄さんこそ大丈夫?妊娠て大変なんでしょ?」
「遥香が頑張ってくれてるからね。俺はそれを支えるだけだよ」
「素敵ですね。お義姉様への愛を感じます」
「そう?まあ、男の俺達は妊婦の気持ちを100%汲むのは難しいけど、愛する妻の大変な時こそ、支え合わないとね」
妊娠、出産の大変さは男ではなかなか理解出来ない人も多いだろうが、お腹の子に栄養を送って尚且つ、それを産むんだから、負担は相当なものだ。だからこそ、俺達男はそれをしっかり汲んで、出来ることをしないと。
何より、好きな相手が辛いなら、助けたい支えたいと思うのは当然だよね?
「・・・兄さん、やっぱり無理してそうだね」
「そう?」
「昔から、家事とか僕の面倒とか、バイトだってこなして大変なのに、いつもそうやって笑って誤魔化してたよね?」
なるほど、よく見てる弟だことで。
でも、別に今はそんなに無理してないけどなぁ。
しばらくジト目で見てきた海斗はため息混じりに言った。
「まあ、今の兄さんには、あの人がいるし、あんまり心配しても仕方ないかな」
遥香のことだろうか?まあ、本当にヤバいなら止めるだろうしね、それに俺は健康と家事くらいしか取り柄がないから、好きな人、大切な人のために出来ることはなんでもやるつもりだ。
「まあ、とりあえず疲れてるでしょ?部屋に荷物置いたら、お祖父ちゃんに挨拶しないとね」
「分かった」
「楽しみです」
ワクワクしてる様子の愛香さん。あれ?でも、愛香さんお祖父ちゃんに挨拶するのってこれが初めてかな?だとしたら、遥香の時のアレがあるかもしれないけど・・・まあ、愛香さんだし大丈夫か。とりあえず未来の義妹を信じてみるのだった。




