610 二人が伝えたいこと
ご報告
「結婚報告以来かな?」
母さんのお墓の掃除をしてから、思わず呟く。前に来たのは、確か高校を卒業して遥香と籍を入れた辺りだったはず。父さんが結婚式に遺影を持ってきてくれたけど、魂の眠る場所となるとここなのだろう。
「母さん、知ってるだろうけど、無事に結婚式終わったよ。それに、新しい孫ももうすぐ生まれるよ」
母さんの好物の、小倉屋のいちご大福とジンジャーエールをお供えしながらそう報告する。先程、小倉屋にいちご大福を買いに行った時に、店主には新しく子供が生まれることを報告したら、お祝いにサービスして貰えた。
遥香も千鶴も嬉しそうだったし、何よりかな。
「お墓に来れるのも、今年はこれが最後になるかもしれないんだ。ごめんね」
「ん?別にお前1人でも行っていいんだぞ?」
「意地悪言わないで下さいよ。3人を残して1人で来れるわけないですよ」
子育ては俺がメインになる訳だし、赤ちゃんの側を離れる訳にはいかない。まあ、瑠美さん、お義母さん、巡李さん辺りは手伝ってくれそうだけど・・・可能な限り俺がメインで育てたいのだ。
もちろん、遥香と千鶴のことも寂しい思いはさせないつもりだ。
そうして返すと遥香はくすりと笑ってから、母さんのお墓の前で手を合わせて言った。
「お義母さん。お腹の子も順調に育ってます。健斗は過保護なくらい、私とちーちゃんのこと大切にしてくれてるから、心配しないで下さい」
そんな母親の様子を見て、千鶴も手を合わせてお姉さんモードで言った。
「おばあちゃん。ちーは、もうすぐお姉さんになります。こんど来るときは、かわいい妹を紹介します」
そういえば、そろそろ赤ちゃんの性別が確認出来る頃か?一応、希望があれば知ることが出来るらしいが、どっちだろうと、可愛い我が子に変わりはない。
にしても、千鶴が最近身につけてきた、お姉さん口調はなかなか様になってるなぁ。我が子の成長が嬉しくもあり、少し寂しくも感じる今日この頃。
「あと、私と健斗は今まで以上にラブラブです」
「ちーも、パパとらぶらぶです」
・・・でも、まだ俺を慕ってくれてるので、大丈夫かな?というか、サラリと2人とも言うのがなんとも狡いところだ。こういう所は母親に似たのだろう。全く、可愛い嫁と娘だこと。
「そんな訳だから、生まれたらまた報告に来るよ」
本当はまだ色々言いたいこともあったけど、細かく言わなくても、母さんの場合把握してそうだしね。またどこかで、2人の夢に出ないか少し心配だが、とりあえず大丈夫そうかな?




