608 線香花火
ラストはやっぱり
「おお、楽しんでるみたいだな」
「あ、まま!」
花火も一通り堪能した頃、残すは線香花火のみとなったタイミングで遥香がやってきた。タイミングがいいけど、中から見ていたのだろう。
「おお、ちーちゃん。楽しんでるか?」
「うん!ひは、ちょっとこわいけど、いろがすごくきれいなの」
「それなら良かった」
ちゃんと、火が危ないものだと理解してるのだから、我が子はやはり賢い。そんな風に親バカみたいな事実を確認していると、いつの間にか瑠美さんが室内に戻って行ったようだ。親子で楽しめってことかな?
線香花火に火をつけて、3人でそれを眺める。先程までの華やかさとは少し違って、落ち着いた感じがなかなかいい。
「あっ!」
そんなことを思っていると、千鶴の持っていた線香花火の火玉が落ちてしまった。
「むぅ〜」
残念そうにむくれる我が子が可愛いと思っていると俺の火玉も落ちてしまった。仕方ないので、千鶴と2人でもう一度火をつけてぼーっと眺める。
「・・・子供の頃な。この線香花火が好きすぎて家族でやる時も1人だけこればっかりやってたんだよ」
「そうなんですか」
「この儚げながら、頑張ってる姿がなんか好きだったんだよ」
確かに、懸命に燃えて弾けてるようにも見えるな。にしても、遥香は浴衣を着て線香花火やったら更に絵になっただろうな。遥香の和服は俺的にかなりグッとくるのだ。そんな視線に気づいたのか、遥香は微笑んで言った。
「夏祭りもあんまり今年は回れなさそうだしな。浴衣はお預けかな」
「ですよね」
「どうしても見たければ・・・」
くすりと笑いながら部屋の方を指さす我が嫁。なるほど・・・続きはベッドでってことか。なんか結婚してから一気に色に染まったなぁ・・・俺は。
それまでほとんど無縁だったのに、遥香を愛でるとなるとなんか自分でも信じられないくらい大胆になる時があるからなぁ。家族計画は慎重にと言いたいけど、そのうち3人目も出来るかもしれないなぁ。
果たして俺は何人の子供を遥香と作るのか・・・誰か予想出来る人が居たら教えて欲しいものだ。
「ぱぱ、きれいだね」
「うん、そうだね」
思うに、一番の成長は嫁と娘で気持ちの切り替えがしっかり出来る点かもしれない。先程までの色に染まった感じから一転して娘が可愛いと思えるのだから、我ながら切り替えが早いものだ。
そんな感じで花火を満喫するのだった。持ってきてくれた瑠美さんには感謝しないとね。後でお菓子でも作って渡そうかな?




