607.5 絶大な信頼
「遥香、健斗くんとはどうだ?」
父親の質問に遥香は首を竦めて答えた。
「見たまんまだ、私もちーちゃんも幸せすぎるくらいだ」
「妊娠してからはどうだ?」
「ずっと私のこと、気にしてくれてるし、些細なことでもすぐに気がついて支えてくれてるよ。ちーちゃんのことも可愛がってるし、完璧すぎる夫と父親だよ」
その答えにホッとする父の様子を見て遥香はため息をついた。
「心配しなくても、私達は順調だ。もう前とは違うからな」
「そうそう、けんちゃんなら大丈夫だって〜」
「分かってる。どうしても聞きたかっただけだ」
和也との件を親として気にしてるのは明白だったが、遥香としてはあの時とは何もかもが違うので心配は微塵もなかった。
「ふふ、けんちゃんは本当にいい子よね〜」
「まあな」
「悪阻の時も、付きっきりで甘やかしてくれたって聞いたわよ〜」
「・・・瑠美のやつめ。喋ったのか」
「あら、いいじゃない。親子なんだし」
「それはそうだが・・・あんまり、私と健斗とのことは広めたくないだけだ」
それは遥香のちょっとした独占欲のようなものだ。惚気けたい気持ちと、独占したい気持ちが入り交じった複雑な気持ち。
「ラブラブねぇ〜。私達ももう一人くらい作ろうかしら?」
「止めとけ」
父親が飲んでた酒で噎せてるのが嫌でも分かった。
「義姉さん。瑠美が迷惑をかけてすみません」
「まあ、健斗も嫌がってないしな。気にしなくていいさ」
「・・・その、健斗くん大丈夫ですかね」
「何がだ?」
「子供のことですよ。高校卒業してすぐ結婚で妊娠ですから。色々大丈夫かなって」
色々とハイペースで進んでおり、血の繋がりのない千鶴と新しい子供の面倒などで大丈夫なのか少し心配した颯太だが、遥香はそれにくすりと笑って言った。
「大丈夫だろ。ちーちゃんのことは本当の娘だと思ってるし、お腹の子のこともちゃんと考えてる。ああ見えてアイツは強いからな。ただ、息抜きに付き合ってやってくれるとありがたい」
「息抜きですか?」
「アイツの場合、無理やりでも休日作らないとずっと何かしてるからな」
家事全般に、育児、簡単なバイトまでしてるので、遥香からしたら、そのたまの休みの息抜きは必要だと考えてるのだ。
「時間あったら、遊びにでも誘ってくれ」
「僕で大丈夫ですか?」
「多分な」
少なくとも、自分の父親よりは息抜きにうってつけだろうと思いそんなことを言うのだった。そうして、楽しげに外で花火をする健斗と千鶴を遥香は微笑ましそうに見守る。




