605 蚊取り線香
キンチョウノナツ
「おばあちゃん、これなあに?」
家に戻ってきてのんびりしていると、そんなことを聞く千鶴。千鶴の指差す方に視線を向けると、そこには蚊取り線香があった。家では違うタイプ使ってるから知らなくて当然かもしれない。
「それはね、虫さんに帰って貰うためのものなのよ〜」
「むしさんに?」
「そうよ〜、ここには食べ物は無いですよ〜っていう合図なのよ〜」
なんとも上手い言い回しに感心してしまう。流石は子供を2人育てた親だけあって、子供の扱いも上手いものだ。蚊に血を分けるわけにはいかないから、ある意味正しいだろう。刺されたら痒くなるしね。
「なんかね、ぱぱのままのところにいったときとおなじにおいがするの」
線香の匂いのことかな?
「そうねぇ、お線香は色んな合図に使えるからそうなるの〜」
「あいず?」
「そう、お墓とかだとそこから元気ですよ〜って伝えるのよ〜」
千鶴ももう6歳になったし、どの程度教えていいものかは悩むところだけど、自分で得る知識もあるだろうし、欲してるものを与えるのがいいかもしれないな。
子供の作り方とかは・・・判断が難しいところだけど、今のところ深く聞かれないのは幸いかな?赤ちゃん出来たことも、どうやって出来た?よりも、妹か弟が下に出来るのが嬉しいという感じで流してくれてたみたいだしね。
親の難しいところは、子供にどの程度教えていいことと悪いことの線引きをするかとかもあるよね。俺は家庭環境もあって、千鶴くらいの歳にはどうやって子供出来るの問題はクリアしていたどころか、うっかり友達の家でその手の本を見てしまったこともあったけど、まあ、俺は例外だろう。
千鶴は女の子だし、女の子というのは男とは比べ物にならない速度で成長していくものだ。どうしたって、今ぐらいの時期には好きな相手くらい出来ててもおかしくはないだろう。
だからこそ、友達から得る知識と親から得る知識、そして自分で自発的に得た知識というものが大切になってくる。
うーん、最近はロリコンも多いし早くに教えるに越したことないけど、興味本位でしていいことでもないから、悩ましい。思春期に入れば勝手に得るのかもしれないしね。
蚊取り線香を見ながら喋る祖母と孫の姿を見ながら、そんなことを考えてる俺はある意味異常かもしれないが、生まれてきた子供で手一杯になる前に予め決めることは決めておく方がいいかもしれない。遥香とも相談してだが、子育てに関しては俺に任せてくれてる節があるからなぁ。まあ、まずは相談かな。




