603 お小遣いの使い方
マニー
「ぱぱ、これ」
お昼を食べ終わると、千鶴が何かを渡してきた。受け取ると用意していたのかのように千円札が15枚ほど・・・約1万5000円分あった。
「ひいおばあちゃんが、さっきくれたの・・・」
計算を覚えてきた我が娘も大金だと分かってるようで少し困ったような顔をしていた。そのお祖母様は既に畑に戻られたようだけど・・・会う度にこんなに貰うのも気が引けるものだ。
「まあ、受け取ってもらえないかな?母なりの優しさだろうからね」
「ですが・・・」
「昔から堅物でね、こういう不器用なことしかできないんだよ。幸い、お金はあるからね」
「そうなんですか?」
「父の遺産と結婚前からのお金があるらしい。年金なんて貰わなくてもいいくらいの額だよ」
通りで、毎回千鶴にお小遣いあげたり、御祝儀も桁が違った訳だ。
「孫である遥香達にもあまり上手く接せてた自信がないんだろうね。健斗くんが来てからは不器用ながらも歩み寄ろうとしてるし、なるべく受け入れて欲しいんだよね」
「・・・分かりました。でも、貰ってるだけじゃなんなので、ちゃんとお返しもします」
とりあえず、千鶴の口座に貯金しておくことにして、お祖母様にはまた色々贈るとしよう。
「にしても、本当に健斗くんは不思議だね」
「不思議ですか?」
「普通、母の態度みて歩み寄ろうする人って少ないから。遺産目当ての私の兄弟も母のあの偏屈さを知ってて近寄らないからね」
「うーん、俺としては優しい人だと思いますが」
確かに少し、固そうなイメージはあるけど、話してると本当は優しい人だって分かるんだよね。ウチの祖母とは対極的のようでどこか似てる優しい感じ。
「案外、私達よりも健斗くんに遺産相続させるかもね」
「流石に子供か孫のはずですが・・・出来れば長生きして貰いたいですね。曾孫の顔を見てもらいたいので」
「ふふ、けんちゃんは優しいわねぇ〜。ちなみに私達がボケたりしたら介護してくれるのかしら?」
「子育てが落ち着いて遥香が許可を出せば。まあでも、お義母さん達にも長生きして貰って、孫の晴れ姿は見て欲しいですけどね」
「じゃあ、しばらくは頑張らないとね〜」
楽しげに笑うお義母さん。介護、遺産・・・頭の痛くなりそうな話だろうけど、遺産は俺には無関係だろうし、介護もいずれはするかもしれないと覚悟は出来ているので大丈夫だ。
まあ、どっちの家族もボケて介護が必要になる未来が見えないんだけど・・・お義母さんとか、たまに千鶴に祖母扱いさせるのに迷うくらいだもん。




