599 苦労人颯太さん
颯太さん
「やぁ、健斗くん。結婚式以来だね」
「お久しぶりです。颯太さん」
楽しげに会話をする姉妹の横で、俺は久しぶりに会った颯太さんと話していた。相変わらず爽やかな人だ。
「義姉さんとは順調なようだね」
「ええ、お陰様で」
「子供が新しく出来たら、瑠美がまたそっちで騒がしくなるだろうけど、迷惑だったら追い返していいからね?」
「むー、酷い旦那めー!後でお仕置だー」
どうやら聞いていたららしい瑠美さんからの言葉に苦笑する颯太さん。まあ、夜大変になるのだろう。
「いえ、むしろ毎度瑠美さんに頼って申し訳ないくらいです」
「ウチは子育てはもう十分だからね、姪を愛でる方が瑠美としても気が楽なんだろうね」
「颯太さんも、良ければ遊びに来てください。歓迎しますから」
「ありがとう、仕事が無いときにでもお邪魔させて貰うよ」
とはいえ、この人も仕事大好き人間っぽいので、その言葉はあまり期待しない方が良さそうだ。
「そういえば、義姉さんは妊娠中だし、運転は健斗くんがしたのかな?」
「ええ、最近はそうですね」
「車は義姉さんのやつを?」
「2台だと維持費がかかりますからね。遥香の妊娠中は俺がなるべく運転するつもりです」
「そっかー、まあ、車必要になったら言ってよ。安くするからさ」
「ありがとうございます」
家族が増えても、俺が車を買う可能性は低いけど・・・その時は頼るとしよう。
「予定日は12月だっけ?」
「ええ」
「じゃあ、こっちで会うのは今年最後になりそうだね。子育てで忙しいとは思うけど、赤ちゃんの顔見に行ってもいいかな?」
「もちろんです。生まれたら是非会ってあげてください」
こういう気の使い方が出来るのはさり気にカッコイイよね。生まれたばかりであまり連れ回せないだろうから、年末年始の挨拶には今年は行けるか分からないので、助かる。
「瑠美さんには色々と助けて貰ってご迷惑をかけるかもしれませんが・・・」
「気にしなくていいよ。むしろ瑠美の場合楽しみにしてるから、邪魔な時は遠慮なく言っていいから」
久しぶりに会ったけど、颯太さんは相変わらずのようだった。色々と苦労してそうだが、1番穏やかに話せるみたいだ。人柄もあるのだろうけど、黒羽姉妹の好みのタイプが近いのかもしれない。まあ、俺の場合は颯太さんみたくイケメンで仕事バリバリではないけど。普通で家事が少し出来る程度なので、本当に拾ってくれた遥香には感謝しかないかな。
子供が生まれたら、瑠美さんには色々手伝ってもらうかもしれなくて本当申し訳ないが、気にしないでいいと微笑んでくれる颯太さんに少しばかり安心するのだった。




