595 ぷにゃとユキ
タイトル詐欺です(断定)
「ほい、鍵。無くすなよ」
「分かってるって」
千鶴の誕生日を盛大に祝ってから、その日はいつも以上に甘えてくる千鶴を甘やかして楽しんでから俺は雅人に家の鍵を渡していた。
誤解なきように言えば、正確には水瀬さんに合鍵を渡すように渡していた。
何故かといえば、お盆中のペットの世話を頼むためだ。
ウチには子猫のユキとハムスターのぷにゃというペットのタッグがいる。
訓練のお陰でユキがぷにゃを食べることは無くなったのだが、お盆中は家を離れるので必然的に連れ歩くことになりかねない。
いつもなら、瑠美さんに頼むがお盆は向こうで千鶴と遊びたいらしいし、無理に頼めない。連れてくことを決めていた時に、雅人と水瀬さんは色々あって里帰りしないという話を聞いて、確認してみたら二つ返事でOKしてくれた。
「でも、雅人も里帰りしないのは意外だよね」
「そうか?」
「水瀬さんが残るから残ったの?」
「・・・別にそうじゃないと言っても信じないか」
「まあね」
「・・・あいつな、両方の祖父母もう死んでるそうだ。墓も近いし里帰りする必要ないらしい」
少し重い事情だが、まあ、仕方ない。
「それ、話していいやつなの?」
「合鍵を渡すよりはな」
「水瀬さん悪用出来ないでしょ?それに少なくとも親友から小銭巻き上げて高笑いするような性格とは思えないしね」
信用とは少し違うか。信頼とか?まあ、これで騙されたら笑えないけど、子供の頃からの付き合いでそんなことをするデメリットの方が多いのに雅人がする訳ないからね。
水瀬さんに関しても、人を見る目はかなりある遥香が認めているので大丈夫だろう。俺自身、多分この先長い付き合いになる親友の彼女であり弟子であり、ママ友になるだろうから警戒はしていない。
「・・・後で泣き寝入りするなよ」
「その場合は誠に不本意だが、水瀬さんに殺人料理の作り方教えて食わせてやる」
「なんだよ殺人料理って」
「見た目は普通なのに使ってるのが危険な薬品とかのやつ」
「確かに・・・お前のレシピ信じて素直に作りそうだな」
むしろ、俺は彼女がそのうち悪い宗教とか怪しい壺の購入とかに引っ掛からないか少し心配にもなる。クラスメイトの時は気づかなかったけど、思いの外、1度懐を開くとかなり無防備なので心配してしまう程だ。
「まあ、それが嫌なら大人しくイチャイチャしてること。ベッドはシーツ替えておくから」
「いや、流石にお前らのベッド使うのは躊躇われる・・・気持ち的な意味で」
「違いない」
今年だけかもしれないが、ペットの世話を頼めた親友には感謝せねば。そんなことを思うのだった。




