591 花売り
お花売り
「悪い、そろそろ帰るわ」
時間も時間なので、夕飯の買い物もそろそろしないといけなくなり、斉藤にそう切り出すと斉藤は頷いて言った。
「付き合わせて悪かったでござるな」
「気にしなくていいよ」
「代わりと言ってはなんでござるが、ここは拙者が払うでござるよ」
「ん?じゃあ、頼んだよ」
本当は遠慮するつもりだったけど、コーヒー1杯なのでそこまでの金額ではないし、お願いすることにした。てっきりもう少し店にいると思っていた斉藤は、俺と一緒に席を立つと支払いを済ませて一緒に店をでるのだった。
「斉藤、この後の予定は?」
「帰って、彼女の原稿の手伝いでござろうな」
「お疲れ様。今度、彼女と一緒にご飯食べにきなよ」
「それは楽しみでござるな」
そんな会話をしていると、駅前までやってきており、そこで俺は珍しい光景を見かけた。
「農業高校で育てたお花如何ですかー!」
数人の作業着を来た学生らしき高校生が、リヤカーに大量に花を乗せて売っていたのだ。
「確か、近くの農業系の高校でござるな。こんなことまでしてるのでござるな」
「あ、お兄さん達どうですか?今なら今日と明日の誕生花もありますよー」
一番明るく接客する子にそう言われて、明日の千鶴の誕生日のために見るのもいいかと思い見てみる。
「明日だとどれかな?」
「この花ですよー。モントブレチア、和名だとヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)とも言いますねぇ。オススメの花言葉は清楚な人、楽しい思い出 、すてきな思い出辺りですかね」
少しオレンジがかった綺麗な花、8月15日の千鶴の誕生日プレゼントは別にあるけど、これはこれでいいかもしれない。
「じゃあ、それを貰えるかな?」
「毎度あり!あ、文化祭でも色々売るから良かったら来てください。彼女さんとかにもいい花ありますよー」
「そうさせて貰うよ」
本当に行くかは分からないけど、そう返事をしておく。
「あの子接客上手いでござるな」
「というか、農業高校ってあんなに花育ててるの?」
「うーん、拙者もあまり詳しくはないでござるからなぁ・・・まあ、何にしても、拙者も彼女にプレゼントが出来て良かったでござる。まあ、リアルの花より背景が花の漫画の方が喜ばれるでござろうが」
「相変わらずそうで何よりだよ」
遥香用にも花を別で買ったので、これで平等だろう。娘の誕生日だけど、嫁にも花は買っておかないとね。いつもは食べ物や小物とかが多いけど、たまにはこうして花も贈らないと、男として少しダメな気もする・・・というのは、冗談で、ただ贈りたいだけなのだ。




