589 オタ友からの相談
ご相談
お昼を食べてから、買い物に出掛けようとしたタイミングで斉藤から誘いを受けて俺は近くの喫茶店まで出向いていた。なんでも、相談があるらしい。
その相談事に全く心当たりがないが、時間はあるし、友人からの頼みなので仕方ない。
「お久しぶりでござるな」
「結婚式の時はありがとうね」
「親友のためでござるから」
「それで、どうかしたの?」
見た感じはいつも通りなので、あまり深刻な悩み事ではなさそうかな?なんて思っていたら斉藤は笑いながら言った。
「実は、両親が離婚することになったのでござる」
・・・ちょっと、予想より重めでびっくりしたが、俺はそれで?と続きを促す。
「離婚するにあたり、拙者はもう一人暮らしでも心配はないでござるが、苗字をどうするか迷っているのでござる」
「斉藤はお父さんの苗字だっけ?」
「そうでござる。母方の苗字は佐藤でござる」
んー、あんまり変わらない気もするが、まあ、離婚の時に悩む問題でもあるか。俺は遥香と離婚する気はないし、考えもしてないけど、やっぱり身近にはそういう問題もあるよな。
「斉藤的にはどっちがいいの?」
「どっちでも1文字多いか少ないかの差しかないので、どっちでもいいのでござるが、彼女との結婚の時にどっちがいいのか迷ってるでござる」
「いっそ、結婚したら彼女の苗字を名乗れば?」
「それは考えたでござるが、彼女は拙者の苗字になりたいと言ってるでござる」
なるほどねぇ・・・
「聞くべきは分からないけど、離婚の理由とかでどっちがいいとかないの?」
「うーん、身内の恥で申し訳ないでござるが、2人とも浮気していたのがバレてすっぱり離婚することにしたそうでござる。まあ、拙者のことは息子として可愛がってくれてて、どっちでも構わないと言ってくれてるでござるが」
両親共に別の相手と浮気してたの?それはそれで凄いけど、更に凄いのは、そこからあっさり離婚に持っていけることだよね。俺なんて、遥香と離婚したら生きて行ける気がしない。千鶴の養育権とかも持ってかれそうだし。まあ、どっちの想定も絶対にないと思うけど。
「そっか、まあ、俺は斉藤の方が慣れてて呼びやすいけど、佐藤でもいいかな」
「つまり、どっちでもいいと」
「まあ、苗字が変わっても友人としての立場が変わるわけじゃないしね」
そう、結局この手の問題は、当人の好きにするのが1番だろう。相談してきたってことは、迷いつつも何かしら決めてることもあるのだろうし。
「そうでござるな」
あっさり頷くあたり、斉藤も中々凄いと思うけど。




