585 行きたい進路
進路相談
「やっぱり兄さんのご飯美味しいね」
嬉しそうに食べる海斗。そんな海斗を微笑ましく見てる俺と、若干悶えてそうな愛香さん。なるほど、海斗にベタ惚れなのはよく分かった。
「それなら良かった」
「そういえば、兄さん。赤ちゃんはどうなの?」
「元気そうだよ。遥香曰く胎動してたらしいし」
「そっか」
遥香とは色々あったのかもだけど、叔父という立場としては気になるのだろう。
「生まれたら、愛香さんと2人で見に来るといいよ」
「いいんですか?」
「いいよ。赤ちゃん苦手なら無理にとは言わないけど・・・」
「行きます。将来の予行演習のために」
「ははは・・・まあ、僕もあんまり赤ちゃん見ないから楽しみだよ」
本当にグイグイくる彼女さんだけど、嫌がってないのならいいか。
「将来と言えば・・・進路のこと、父さんと話した?」
その質問にギクリとしたように視線を反らす海斗。はぁ・・・やっぱりか・・・
「・・・出来れば、兄さんに色々相談に乗ってほしい」
「それは構わないけど、父さんとも話さないとダメだよ。それにやりたいことあるのに遠慮するつもりなの丸わかりだし」
「やりたい事?」
「まあ、海斗も興味がある分野があるんだよ。なのに専門学校はお金がかかるって遠慮して就職してお茶を濁そうとしてそうだからね」
俺の推察が当たっていたようで、気まずそうな表情を浮かべる海斗。
「・・・だって、結構迷惑かけてるし、今更どんな顔して言えばいいのか分からないよ」
父さんとの確執、それが完全には消えてないけど、自分の態度の不味さも分かってるのだろう。だが、それでも言わせて貰う。
「親にとって、本当に嬉しいのは子供が望んだ道に行くこと、まあ、幸せになることなんだよ。父さんは昔から海斗のためにお金を貯めてたから話せば大丈夫だよ」
「でも・・・」
「じゃあ、個人的なアドバイスを一つだけ。多分、向こうに帰ってから父さんに話しかけると何かしら渡されると思うよ」
「どういう事?」
母さんのことだから、このタイミングで何かを残しておく確率は高い。でも、これ以上ヒントはあげないほうがいいだろう。
「とにかく、1度話すこと。怖ければ愛香さんと2人で行きなよ」
「海斗くんが望むなら」
「・・・いや、最初は1人でいいよ。うん、頑張る」
やはり恋というのは凄まじいものだ。好きな人が原動力になる。俺もそうだけど、男というのはそういう単純な生き物だから仕方ない。これで、少しは前進してくれるといいが・・・それは二人次第かな。




