583 弟の来訪
弟くんと彼女
夏休み期間になれば、来訪する人物もいる。その日、遥香と千鶴が水瀬さんと出掛けているタイミングでその人物はやってきた。
ピンポーン。
インターホンの音を聞いて扉を開けると、そこには我が弟の海斗と1人の女の子がいた。
「兄さん、久しぶり」
「久しぶり。元気そうで良かったよ。それで、その子が彼女?」
「うん、そうだよ」
「まあ、立ち話もなんだし入りなよ」
そう言って俺は2人を家に入れる。冷たいお茶を出してから、その女の子はぺこりと挨拶をする。
「初めまして、お義兄様。海斗くんの彼女の姫路愛香です」
「海斗の兄の巽健斗です。こちらこそよろしく」
なんか、呼び方が早速ワンランク上な気がしたが・・・一見すると普通の女の子に見える。前に聞いた話だとストーカー気質がありそうな感じだったけど、どうなんだろ?
「姫路さんは・・・」
「お義兄様。私のことは愛香と呼んでください。私もそのうち巽の姓を名乗る予定なので」
めっちゃグイグイくる。慣れてるのか海斗は普通だが、どことなく優しげな顔をしていた。あの海斗が女の子にこんな視線を向けるとは・・・雅人といい、恋とは人を変えるんだねぇ。
「うん、分かった。ただ、嫁が嫉妬するから一応事情は説明させてね」
「分かりました。ところで、お義兄様は料理や家事が得意とお聞きしました」
「うん、まあこれでも主夫だしね」
「海斗くんとは高校を卒業したら形だけ籍を入れて、生活が安定したら2人で本格的に住む予定なんですが、それまでの間に色々と嫁入り修行として教えて頂けるとありがたいのですが」
・・・なんか、デジャブを感じなくはない。にしても、親友といい弟といい俺は何故か嫁入り修行として料理とかを教えるケースが増えてきた気がする。
「いいよ。でも、その前に一つ聞いていい?」
「なんでしょう?」
「海斗のこと好き?」
その質問に愛香さんは、
「海斗くんのことは世界で一番愛しております。いつもは冷たい感じでも、本当は誰よりも優しくて、努力家で、真っ直ぐなところも素敵です。容姿だけじゃなくて性格も素敵で、私の大好きな人です」
恥ずかしがる様子もなくスラスラと答える。本心だからだろう。まあ、この後一時間近く海斗の好きなところを答えてくれたので、今更ながらこれはタブーな会話だったのだろうと気づいたが、可愛い弟が愛されてると知れたので良しとしよう。
1番凄いのは、そんな羞恥プレイを海斗が微笑んで聞き流していたことだろう。弟が知らない間にイケメン度を上げていて兄さん嬉しいよ。




